2021年7月27日

18世紀の輝き復活 海軍館

 18世紀は、フランスがもっとも輝いていた時代。特に、ルイ15世の時世は、絢爛豪華そのもの。国王の公式愛妾のポンパドゥール夫人やデュバリー夫人が幅をきかせ、優美で繊細なロココ様式が生まれ、先代のルイ14世の厳格さや規律が緩和され、人生を楽しんでいた華やかな時代。

その後、ルイ16世に嫁いだマリー・アントワネットによって、洗練を極めた輝きが加えられたフランス。

こうした18世紀に、多くの建造物が建築されました。その中で際立って美しいのが、コンコルド広場からのびるロワイヤル通りをはさんで誕生した、左右対称の二つの建物。左は現在のクリヨン・ホテルで、右は海軍館。

19世紀初期のコンコルド広場。
左の建物がクリヨン・ホテル、右が海軍館。

海軍館はもともと18世紀に建築された、王室家具保管所で、計り知れないほど多くの家具やオブジェなどが保管されていました。が、革命で破壊されたり、売られたり、あるいは、武器はバスティーユ監獄襲撃に使われたりで、姿を消してまったのです。


1789年の革命の時に、王室家具保管所にあった
王家の人々の貴重な武器が略奪され、バスティーユ監獄襲撃に使われました。


その後、この建物に海軍省が置かれ、2015年にその機能を終え、大々的な修復作業が行われ、博物館として公開されたのです。ここに再現されているのは、18世紀の王室家具保管所だった、フランスの栄光の時代。所長の豪勢な執務室、エレガントなダイニングルームやベッドルーム、煌びやかな回廊、グラン・サロン・・・

2 階の主だった部屋に向かう「名誉の階段」
階段をのぼるに従って、身が引き締まります。

王室家具保管所長の執務室。

いくつもある寝室のひとつ。

優美なダイニングルーム。

長いギャラリーも金箔、リリーフ、鏡、シャンデリアで煌びやか。

オーディオガイドを聞きながら見学。
セルフィで記念写真を撮ったけれど、意外とむずかしい。

金箔で光り輝く壁やドア、厚手のカーペット、王朝時代の卓越した家具師による椅子や机、緻密なリリーフ、無数のシャンデリア。18世紀の美を堪能できる、パリでは稀有な博物館。

コンコルド広場に面したバルコニーからの眺めは欠かせない。

そのバルコニーの天井にも緻密なリリーフ。

18世紀の美にたっぷり浸った後、ティケット売り場に戻ると、その天井を飾るガラスに眩しいほどの光があたっていて、これも、また、素晴らしい。まるで、きれいにカットした大きなダイヤモンド。お洒落なレストランも一階にあるし、ぜったいにお勧めの海軍館。

ティケット売り場の天井。
ダイヤモンドのような輝きが、息をのむほどキレイ。
フランス人の才知を賞賛したくなる。

2021年7月21日

今日から「衛生パス」が必要なのは・・・

コロナ感染者が増える一方のフランスでは、ついに、今日から、一定の場所に入るのに「衛生パス」が必要。それは、50人以上の人が集まる文化とレジャーの施設。

映画館、美術館、劇場、コンサート会場、プール、イヴェント会場、遊園地、ゲームセンターなど。ただし、お祈りの場は例外。

再オープンしたばかりのエッフェル塔も、衛生パスが必要。
    
世界中の歌手がコンサートをおこなう、オリンピア劇場。

この他、レストランやカフェに関しては、これから決まるので、それを阻止するデモの勢いがあがっています。レストランやカフェは、テラス席は免除してほしい。多分そうなると思っているけれど・・・

2021年7月16日

カルナヴァレ博物館の魅力

 4年もの長い歳月をかけて修復工事を行っていた、カルナヴァレ博物館が再オープン。展示品は62000を超えるパリ歴史博物館だけあって、中身が濃い。

革命に関する本を書いているときに、何度も訪れているので、修復後、どのようになったか興味津々。でも、コロナ騒ぎでずっと行かれず、やっと訪問が実現。私の目的は革命時代なので、そこに一直線。

かなり近代化され、便利になったけれど、以前のように、館の建築当時の16世紀の趣きが感じられず、ちょっとがっかり。でも、展示の方法がとてもわかりやすく、子供でも見てすぐに理解できるような配慮がうかがえるのは素晴らしい。ここでは、パリの歴史をたっぷり学べる。

入り口を入ってすぐに見えるルイ14世の像。
後方に、この貴族館が建築された16世紀の優美なリリーフが見えます。

マリー・アントワネットが履いていたとされる靴。
ヒールは低く、リボン飾りをつけるのが王妃の好み。

マリー・アントワネットの強敵だった、
ルイ15世の愛妾、デュバリー夫人のプレート。中央に彼女のイニシャル。
彼女がルイ15世のために晩餐会を開催した、1771年9月2日に使用。

タンプル塔に幽閉されていた、ルイ16世夫妻の息子ルイ・シャルルの遺品。
額の中にルイ・シャルルの持ち物が詳しく書かれています。
靴下何足、ハンカチ、肌着、タオルがそれぞれ何枚というように。
タンプル塔で王子の世話をしていた人の1792年の記録。


タンプル塔で王子が遊んでいたゲーム。
あまりにも粗末で、心がいたみます。

チュイルリー宮殿に国王一家が暮らしていたときに、暴徒が押しかけ、荒され、もっと厳重に監視ができる場所にと選ばれたのが、タンプル塔。馬車に乗せられ、パリ市を、まるで見世物のようにグルグル回り、ヴァンドーム広場に着くと、いったん停車。

ヴァンドーム広場にあったルイ14世のりりしい騎馬像。
国王の左足の部分が展示されています。

何故なら、そこには、ルイ14世の誇らしげな騎馬像があり、それを革命家たちが壊し、無残な姿になっていたのです。それをルイ16世と王妃に見せつけるために、わざわざ止まったのです。その像の国王の足の部分がカルナヴァレに展示してあり、あまりにも大きく、びっくり。
もうひとつ、面白いのは、バスティーユが監獄だった時代に、そこに閉じ込められていた囚人ラチュードが、脱出のときに使用した縄梯子。

35年間も監獄に閉じ込められていたラチュードは、
その間に3回脱出に成功。そのさいにつかった縄梯子を革命後パリ市に寄贈。
革命が終り、ラチュ―ドは釈放され、自由のシンボルだ、ともてはやされたそう。

こうした、革命にちなんだ多くの貴重な品は、いつ見ても感動。もともと貴族館だったカルナヴァレ博物館には、洗練を極めた18世紀の貴族の部屋も再現されていて、フランスのアール・ドゥ・ヴィーヴルも堪能できます。

国王の側近だった由緒ある貴族、ブルトゥイユ家のサロンの一部を再現。

約2時間ほど見て回り、この続きはまた後日に、と中庭に出ると、大勢の人が幸せそうにティータイムを楽しんでいるので、私も仲間入り。貴族たちが暮らした館の庭園で味わうお茶は、一味違います。館の外壁に施されたカリアティッドのリリーフが、当時のままなのが、いかにも歴史の宝庫、マレ地区らしい。

博物館の中庭は、おしゃれなレストラン・カフェ。


ステキな雰囲気に誘われて、私も中庭へ。ドリンクと軽食を楽しめます。

2021年7月15日

シャンゼリゼ 軍事パレード復活

 7月14日は、フランスが誇る軍事パレードが開催される重要な祭日。この日、陸、海、空軍の部隊や、警察官、消防士、エリート校の生徒たちが、りりしい制服に身を固め、凱旋門からコンコルド広場まで大行進。

昨年はコロナのために、大幅に縮小し、コンコルド広場の周りでグルグル行進し、軍用機やヘリコプターが飛んだとはいえ、数少なく、寂しかった。

それが今年は例年通り、華々しい。シャンゼリゼの両サイドの歩道には、衛生パスのコントロールを受けた観客が、マスク姿で見物。

マクロン大統領がのるジープが通ると、応援の声をあげる人もいれば、2日前に厳しい規制を設けたことに大反対し、ブーイングをあびせる人もいる。これは充分考えられたことで、この日にフランス各地で、抗議のデモがあったほど。

それにしても、フランス空軍の精鋭たちの飛行は、何度見ても美しく、感激。フランス国旗の赤、白、青のスモークを放ちながら、上空を舞うパトルイユ・ド・フランス。これを見るたびに、フランス人でもないのに、フランス国家を歌いたくなる。まるで、フランスが祖国であるように。

フランス国旗の3色のスモークを散りばめながら、
パリ上空を飛ぶパトルイユ・ド・フランス。
リヴォリ通りで撮影。

ルーヴル美術館の上に向かう姿が、美しく、感動的。

レーダー探知機つきの偵察機を囲む、戦闘機。
一糸乱れない飛行に、フランス空軍の優秀さを感じないではいられない。


日本で「パリ祭」と呼んでいるこの軍事パレードは、フランス軍隊が、いかに優勝か誇示しているようだし、きりっとした制服の軍人たちも、いかにも頼りがいがありそう。


パレードを終え、バスに戻る軍人たち。
約5000人がこの行進に参加。道路の左右にバスがびっちりとまっていて、
もちろん、他の車は通行禁止。


いろいろある国だけれど、力強い軍隊行進を見ていると、守られているようで、
安心感が生まれるのだから不思議。

2021年7月13日

マクロン大統領の声明、驚くべき効果

新型コロナウイルス感染者が少なくなって喜んでいたら、このところ、急激に感染者も入院患者も増え、ちょっと心配になってきたフランス。

この辺りで、引き締めなければいけないとばかりに、マクロン大統領がテレビで声明を発表。いつもは大統領官邸のエリゼ宮殿からなのに、今回は、シャンドマルスに最近誕生したばかりの「つかの間のグラン・パレ」 からの録画。

「つかの間のグラン・パレ」というのは、本物のグラン・パレが、修復工事で閉まっているために、その間、様々なイヴェントを開催できるように建築した立派な建造物。2024年のパリオリンピックにも使用するらしい。

スイーツが良く似合うパリ。
でも、今は、状況があまり甘くないパリ。


肝心の声明は30分続き、デルタ株の感染力が非常に強く、それに対抗するために、ワクチン接種を強化しなくてはならない、という内容が大部分。

それによると、医療機関や高齢者施設、あるいは自宅看護にあたるすべての人に、ワクチンを義務付け、9月中旬までに実施しないと、報酬を受けられないし、仕事を失うことになる。

それだけでなく、7月21日から、50人以上が集まる映画館や美術館などで、衛生パスポートの提示を義務とする。

現在は無料のPCR検査も、秋から有料とする。49ユーロ。

その他、カフェ、レストラン、ショッピングモールで働く人も、顧客も、さらに遠距離の公共乗り物に乗車するさいにも、衛生パスポート提示の法案が議会で採択されれば、8月から実施する。状況によっては、これをもっと広げることもありうる。

一時たりとも、テレビカメラから視線をはずすことなく、冷静に語り続けるマクロン大統領。

これだけ矢継ぎ早に言われて、これは一大事と、大統領の声明後、約926000人がワクチン接種の予約を入れ、翌日の午前中には130万人を超えたそう。

すごい効果。でも、これをすんなり受けるフランス人ではない。労働組合や、その他無数にある組合が黙っているはずがない。大荒れになりそうな気配。

2021年7月9日

華やかな話題いっぱい

7月5日からパリで 、21/22年秋冬オートクチュールコレクションのショーが開催され、華やかさが飛び交っていました。ディオールは例年通りロダン美術館で、限られた人数とはいえ招待客を迎えたし、シャネルはモード美術館ガリエラで、同じように観客が見守る中でのショー。バランシアガもオートクチュールを復活させ、モード界に活気が戻ってきたよう。

こうしたイヴェントがあるときには、カフェでマヌカンたちが軽食を取ったり、ティータイムを楽しんでいる姿を頻繁に見かけ、パリの景観をさらに美しくしているように思えてなりません。マヌカンたちはまさに「動く彫刻」。

オートクチュールコレクション中の、にぎわうカフェ。

彼女たちはシンプルな服装ですが、何しろスタイル抜群なので、すぐにマヌカンだとわかります。目立った服を着ていなくても、隠しきれないオーラがほとばしっているのです。学ぶべき装いもあるので、ついつい好奇心に満ちた視線を送ってしまいます。

7日からは南仏のカンヌで国際映画祭が始まっていて、内外の著名な映画俳優たちが、レッドカーペットの上をのぼる艶やなか姿をテレビでみていると、フランスにコロナ前の生活が戻ったよう。それだけでなく、イタリア大統領のパリ訪問を記念して、マクロン大統領がエリゼ宮で晩餐会を催し、ブリジット夫人は真っ白なロングドレスで、にこやかに出迎えたのだから、もう、これは、コロナの心配が去った印象を与えても当然。

セーヌ川の遊覧船もツーリストを迎えて張り切っています。

でも、これは一時的で、7月末から第4波が襲うなどと、税府は気を引き締める警告をだしています。せめて夏のヴァカンスの間は、そうしたことを忘れて、日々を満喫した~い。楽しい生活で生気を養っておくのも、大切。

コロナで疲れた心を慰めるためか、窓辺や外壁に、大規模な花飾りをするお店が増えているパリです。ほとんどが造花だけれど、花々のキレイさには変わりはない。とってもいいアイディア。フラワーショップやホテルではよく見かける光景だけれど、そうでないところに華麗な花々が飾られているのが、パリらしい。


インテリア製品のブティックにも、キレイな花装飾。

ひときわ目立つ豪華な花装飾のレストラン・カフェ。


豪華なお花につられて近づくと、ナンと日よけの内側にも花飾り。
一杯のコーヒーでも、これだけキレイな装飾の下だと、味も格別。

時計のブティックも負けていません。どうしても近づきたくなる。

老舗カフェ・ドゥ・フロールは、生花の飾りです。
ドラマチックで印象に残ります。

2021年7月6日

パリらしいランチタイム

 待ちに待ったパリのアンビアンスいっぱいのランチ。約2時間のランチに出席したのは約30人。コンコルド広場に面した贅沢な場所に、パリのエスプリ満ちるレストランがオープンし、その記念にご招待されたのです。

いつもの通り何を着て行こうかと散々迷い、最初は世界的に流行している花柄のロングスカートと決めたのですが、ちょっと大げさかと思い断念。結局、ランチなのでラフな服装で出かけました。気温はこの時期にしては21度と低め。なので、ジャケットも必要。雨が多少降るし、太陽も出る、などと天気予報が勝手なことを告げているので、傘とサングラスも持参。

このレストランは元々は王家の家具保管所で、革命で役目が変わり、2015年まで海軍省が置かれていました。その後リニューアルされ、建築当時の18世紀の豪奢な面影を見れるミュージアムになりました。その重要な建造物の一階にオープンしたのが、レストラン「ラペルーズ」。

リニューアルした元海軍省の建物。


エントランスで名前を告げ、中に入りシャンパーニュを受け取り、奥に進むに連れて、洗練を極めるインテリアに心が浮き立つばかり。ブルーを基調とした壁画、布を張り巡らした天井、随所に置かれたビロードの椅子、ほどよい大きさのテーブル、壁にはめ込まれた大きな鏡、キラキラした高貴な輝きを散りばめるバカラのシャンデリア・・・

次々に招待客が到着。まずはシャンパーニュ片手にご挨拶。

パリのエスプリ漲るテーブルセッティング。
テーブルクロスが白でないのがいい。

壁に大きな鏡をはめるのは、18世紀の特徴。
シャンデリアが鏡にうつり、豪華さに拍車をかけています。

奥まった所で落ち着いて美味を堪能できます。


お料理もワインも最高のお味。話術に富んだ人ばかりで、会話が途切れることがない。2時間のランチタイムはあっという間に過ぎました。パリに住んでいて良かったと、心の底から思いました。今後、こうした機会が増えるといいのだけれど。

後方のドアが開いていて、新鮮な空気が入るので安心。
会話が途切れない、友情と幸せいっぱいのランチ。

アントレはフォアグラ。

メインがホタテ貝のカルパッチョ。
忘れられない最高のお味。

2021年7月4日

ラベンダー満開のチュイルリー公園

 南仏の花の代表のように思われているラベンダーですが、パリの真っ只中でも見られます。チュイルリー公園のラベンダーは、毎年このシーズンにもっとも美しい姿をみせてくれるので、その周囲の椅子に腰かけて、ひとときを過ごす人が多いのです。

コンコルド広場近くにあるラベンダー畑。
心地良い香りに心身が喜びます。

愛らしいお花、清々しい香り。今度は本を持参して、椅子に腰かけて読書にふけりたい。


ラベンダーの香りは、自律神経を整える効力があると言われています。古い時代から殺菌作用があるともされ、治療にも使われていたそうです。ムラサキの小粒のお花が心に優しさを届けてくれるし、爽やかな香りを吸うと身体が浄化されるようで、心地よい。当分の間、ラベンダーに会いに毎週この公園に行くつもり。

マロニエに早くも実がなっています。今、とってもいい季節です。

2021年7月2日

ブルガリ ヴァンドーム広場店を拡張

 ヴァンドーム広場とラ・ぺ通りには、ハイジュエリーのブティックが競うように立ち並んでいますが、そうした中で、数日前からひときわ目立っているのがブルガリ。

拡張されたばかりのブルガリ・ヴァンドーム広場店。
一階の左から右まで全部ブルガリです。

イタリア発祥のブランドだけあって、ショーウインドーは太陽のような輝きを放っていて、その界隈が一挙に明るくなった感じ。以前からブルガリのブティックはあったのですが、それをさらに拡張して異彩を放っています。数多いショーウインドーには、個性的で華やかなブルガリのジュエリーが飾られていて、そこからオーラがほとばしっています。


個性的なヘビのモチーフのセルペンティネックレス。眩しいほどゴージャス。

愛らしい顔のヘビがキュートなオシャレなブレスレット。

古代ローマのカラカラ浴場のモザイク模様を取り入れた、
華麗極まりないネックレス。


長い人気を保っているバッグ、セルペンティフォーエバー。

ショーウインドーを見回っているだけで、元気いっぱいになります。製品は頻繁に変わるから、またオーラを浴びに行こう。