2021年8月4日

アートと花壇

久しぶりに公園を歩いていたら、いつもと違う花壇が見える。しかも、一カ所だけでなく、あちらにもこちらにもある。色が鮮やかで、すごく印象的。

あでやかで、個性的な色合いの花々がいっぱいの花壇が、あちらこちらに。

これは何か意味があるにちがいない。そう思って花壇に近づくと、何やら小さな説明がある。どれどれ、と短い説明を読むと、シャルル・ガルニエという文字が見える。エッ、まさか、あのシャルル・ガルニエ?

花壇の脇にある説明。

半信半疑で説明を読むと、たしかに、あの、シャルル・ガルニエ。そう、オペラ座の建築家。この花壇の着想は、彼が手がけたエギナ島にあるアファイア神殿の破風彫刻の、多色画法(クロモリトグラフィー)。ガルニエによるそのクロモリトグラフィーは、1858年に建築誌に発表されていると書かれていて、その一部の写真まである。そこに使われている色と、花壇の花の色は、なるほど、よく似ている。

ガルニエのクロモリトグラフィーと同じ色の花々。
見れば見るほど、似ている。

ガルニエがそうしたことを手がけたことを知らなかったし、アファイア神殿も知らなかった。なので、興味にかられていろいろと調べる。

5世紀に建築されたエギナ島のアファイア神殿。
一連の破風彫刻は1811年に発掘され、
現在、ドイツのグリュプトテーク美術館に展示されています。

アフェア神殿はギリシャのエギナ島にある神殿で、紀元前5世紀に女神アファイアに捧げるために建築。ドーリア式の柱の2階建て、というのが大きな特徴。シャルル・ガルニエがギリシャを旅した際に、その神殿の美しい姿に感激。特に、トロイ戦争を題材とした破風彫刻に打たれ、ガルニエは多くの色を付けて建築当時の姿を再現。それが建築誌に発表されたのです。

シャルル・ガルニエ(1825-1898)の名を不朽のものとした、
パリの「オペラ・ガルニエ」。1862年建築開始。

この神殿から、ガルニエがいかに多くの影響を受けたかは、オペラ座の正面を見るとよくわかる。気になったので、オペラ・ガルニエを見に行くと、まさに、パリの中のギリシャ神殿。彼はギリシャへの旅で、古代建築に情熱を抱くようになったのです。


感性が磨かれる要素が、いたる所にあるパリ。

公園の花壇をきっかけに、いろいろなことがわかり、パリが文化都市であることを再認識。やはりこの街は、格別。