2021年9月18日

凱旋門、つかの間のアート

 8月15日のブログでお知らせした、ブルガリア出身の芸術家クリストのプロジェクトが、ついに完成。彼がパリで青年時代を送っていた時から抱いていた夢、それは凱旋門を布ですっぽり包むことだったのです。その実現直前の2020年、84歳で惜しくも世を去ったクリストですが、甥が意志を引き継ぎクリストが残した設計図通りに完成。9月18日から10月3日まで鑑賞できます。

クリストの青年時代の夢が、ついに実現。
ラッピングされた凱旋門は16日間だけのアート。

どの角度から見ても清涼。
重苦しい石から解放され、やさしさがある布に包まれた凱旋門が、
安堵の息をもらしているように思える。

25000メートルの銀色がかったブルーのポリプロピレン織物と、3000メートルの赤いコードを使用し、95人が昼夜を徹して作業にあたったこの「梱包された凱旋門」は、16日間のつかの間のアート。約1400万ユーロ(18億円)かかった費用は、クリストの数多いデッサンや模型などを売却して賄ったそう。自由な立場で、自由に自分の信念を貫くアーティストの純粋な魂が感じられ、深い感動を覚えずにはいられない。

凱旋門を布地で包む前代未聞の作業は、
95人の熟練の専門家によって、昼夜続いていました。

大きな危険を伴う作業だけに、見ているだけでハラハラドキドキ。

永続しない芸術であるがために、それを目前にしたときの感激も大きい。ある日、突然、現われ、突然消え去るクリストの作品。威厳ある石造りの凱旋門が、布地ですっぽりと包まれ、全体にほどこされたひだが風になびき、光を浴びて様々な色に変化し、柔らかな表情を見せ、息吹を吹き込まれたかのような凱旋門。

18日の初日に行くと、凱旋門の周囲は厳重な警戒。
数十メートル手前から車の通行禁止。

凱旋門に近づくのには、衛生パス提示と荷物検査。

クリストによって新たな生命を与えられた、たった16日間の短い運命のモニュメント。その姿をしっかりと胸に刻んでおきたかった私は、もちろん初日に行きました。昨夜は期待でよく眠れなかった。

なぜか、異常にカラフルな服装。嬉しさと感動でいっぱい。
また見に行くつもり。次回は人が少ない時に行っていい写真を撮りたい。

立ち去りたくないほど、美しく感動的。