2022年5月17日

フランス新首相は女性

 5月16日、フランスの新しい首相が発表されました。マクロン大統領が再選されたときから、次の首相は女性になる可能性があるとずっと囁かれていたし、大統領自身もそれをほのめかしていたので「ああ、やっぱり」と、ごく自然に受け入れられる。

選ばれたのはエリザベット・ボルヌで、環境相、労働相を歴任した経験豊富で落ち着いた政治家。彼女の経歴がすごい。

製薬研究所を営む両親の元にパリ15区で生まれ、エリート校ポリテクニックを卒業。その後国立土木学校で工学学位を取得。26歳のときから政治の世界に入ったボルヌ女史は、いくつかのポストをこなし、52歳でポワトゥ=シャラント、ヴィエンヌ知事に就任。さらに、パリ交通公団会長を2年間務め、エマニュエル・マクロンが中道政党「共和国前進」を形成すると、直ちにこの未知数の党に入り、マクロンが大統領に就任し重要な大臣に任命された実力派。

翌日の新聞は、こぞって首相に就任した日のエリザベット・ボルヌの写真を大きく掲載。ライトブルーのジャケットが新時代を象徴しているようで、清々しい。

ル・フィガロ紙


ル・モンド紙

リベラシオン紙

61歳で首相に就任したエリザベット・ボルヌは、フランンスが迎える二人目の女性首相。史上初の女性首相はミッテラン大統領の時代のエディット・クレッソン。1991年で、当時としては勇気ある画期的なこと。彼女はジャパン・バッシングがひどく、政府が抗議したほど。イヴェントなどで数回近くで姿を見かける機会に恵まれたけれど、実際には小柄でフェミニンで、笑顔がチャーミングな女性。顔と性格は一致しないものだと、つくづく思ったものです。

反対に新首相は長身で、歩き方も声も話し方も決断力も、どちらかというと男性的。元々社会党だったボルヌ女史を首相に任命して、とかく右寄りと非難されていたマクロン大統領が、支持挽回を狙っているのだとも見られている。

私は彼女に大きな期待を抱いている。女性の観点は男性と大きく異なるのだから。いくつもの改革を期待したい。

2022年5月16日

暑い、アツ~イ!!! だからショートパンツ

 5月半ばだというのに、すでに暑いパリ。このところ最高気温が28度とか29度。真夏でも30度にならない日が多いのに、この暑さ。だから今、ショートパンツが大流行り。みんな、さっそうと歩いていて、見ていて気持ちがいい。

圧倒的に多いのはショートパンツとスニーカー姿。

立ち姿も絵になる。

ブーツと組み合わせるセンスが個性的。

ハツラツとした歩き方は、さすがパリジェンヌ。
日本女性との一番大きな違いは、
こうした美しい姿勢と歩き方にあると思う。

ママンたちも、もちろん快適なショートパンツ。

黒で統一したコーデも魅力的。

2022年5月15日

18世紀の煌めきは永遠

4年もの歳月を費やした工事が終わり、昨年7月にオープンしたオテル・ドゥ・ラ・マリーヌ(海軍館)。18世紀の王室家具調度品保管所だった時代の、優れた装飾芸術を満喫できる博物館として公開されるので、18世紀に並々ならぬ興味を抱いている私は、直ちに訪問。

その時、この館が辿った歴史をブログに書き、いつか再びゆっくり見たいと思っていたら、突然、招待状が送られてきたので喜び勇んで出かけました。私がメンバーになっているフランス芸術報道組合がオーガナイズしたので、その日集まったのは顔見知りの人が多い。当然、話題も弾み、久々の楽しく充実したひとときを過ごしました。

舞踏会やレセプションが繰り広げされていたグランサロン。
この館でもっとも広く、もっとも絢爛。


18 世紀の卓越したテクニックで創作された、
クリスタルのシャンデリアが至る所で華麗な輝きを放っていて、
身も心も奪われる。


海軍館内にある家具調度品は、新たに再現したのではなく、すべて18世紀を生きていた本物ばかり。今なお存在している国立家具保管所やアンティーク店で見つけた、18世紀の息吹を誇らしげに放つ類まれな品のみ。だから、感慨もひとしお。


壁を飾るタペストリーも家具もテーブルも、
18世紀の装飾アートがいかなるものかを語る貴重な証人。
背の高い鏡は、当時の王侯貴族の館に欠かせないものでした。

壮麗なヴェルサイユ宮殿で絢爛豪華な生活が営まれ、諸外国の王侯貴族の憧憬を掻き立てていた、黄金時代のアール・ド・ヴィーヴルを、パリ中心で堪能できるのは、とても幸せなこと。特に時間的な制約があるツーリストにとっては、素晴らしいプレゼント。何しろこの海軍館はコンコルド広場に面しているのだから、この上なく便利。

私は直ぐに興奮する性格なので、モニュメントを初めて訪問するときは、気持ちが高まっていて、見落としがあったりすることが多い。でも、2度目の時にはある程度落ち着いているので、見るべきものをきちんと見ることができる。今回も同じ。


ダイニングルームの壁際の装飾。
エレガントなカーヴを描くコンソール、その上の控え目な燭台、
壁の花柄装飾、それにマッチするモチーフの椅子。
このような小さな場所にも、洗練せれた感性が光っています。


フランスの時計技術はかなり優れていて、
ルイ14世、ルイ15世、ルイ16世の時代に製作された置時計が、
今でも正確に時を刻んでいます。

王室家具調度品保管所の所長は、この館に夫妻共々暮らしていました。
その一人、ヴィル・ダヴレー男爵所長夫人の優美極まりない寝室。
ベッドの左下には愛犬用のお洒落なベッド。
飼い主によってワンちゃんの運命も異なるものだと痛感。

所長のバスルーム。広さも装飾も見事で、いかに優遇されていたかわかる。

この日の訪問は少人数だったので、各部屋のディテールも時間をかけて鑑賞でき、心が豊かになった感じ。本や絵画、あるいは舞台劇、オペラなどもそうだけれど、2度3度と繰り返して読んだり観たりすると、新たな発見があるもの。モニュメントも同様。今回味わった幸せな余韻は、当分の間残ると思う。


ゆったりした訪問を終えて大満足。
やはり、いいものが精神に与える影響を大きい。

2022年5月12日

個性的なドアたち

パリの建物に、高さや色の制限があるのはよく知られている。19世紀末のナポレオン3世時代にパリ大改造が行われ、ファサードを統一した見た目に美しい建物が建築され、そのエントランスのドアも、クラシックで重厚でした。あれから150年以上経っているものの、美観は保たれている。

ナポレオン3世時代の典型的なドア。

でも、この頃は、かなりカラフルで個性的なドアをよく見かける。しかも、そうしたドアが石灰岩で造った建造物と見事に調和している、と思うのは、もしかしたらパリという名称が左右しているのかもしれない。パリはセンスのいい街という定評が昔からあるから、びっくりするような新しい試みも、
「さすがパリだけあって、斬新」
とか
「パリジャンは、未来の先取りをする感性の持ち主」
などと褒められる。

歴史を重んじながらも、徐々に新時代にふさわしい変化を遂げているパリ。最近目についた、独創的なエントランスドアをいくつかご紹介。

ブドウの飾りがシックでおしゃれなバーのドア。

住居のエントランスドア。
まるで、美術館の入り口かと思うような高尚な趣。
この中にアパルトマンがあるとは、ちょっと信じがたい。

宝石を散りばめたような輝きを放つドア。
フォルムも大きさも統一されていないのは、
さすが自由を尊ぶフランス。動きが感じられて楽しい。


シンメトリックな装飾が高貴。
落ち着いたブルーとゴールドが相まって、かもし出す気品。
ヨーロッパの大都市ならではの風格がある。


2022年5月9日

戦勝記念日のパリ

ヨーロッパで 第二次世界大戦が終わったのは1945年5月8日。フランスではこの日を「戦勝記念日」と呼び、1953年から重要な記念日になっています。

この日、フランス国旗がシャンゼリゼを華やかに飾り、大統領が凱旋門の下にある無名戦士の墓に炎を灯し、国歌演奏があるのは毎年繰り返されていること。そのテレビ中継を私がみるのも、例年通り。

コンコルド広場から凱旋門まで、フランス国旗が飾られひときわ華やか。


マクロン大統領が捧げた立派な花束で、
ひと目をひく3mを超えるシャルル・ド・ゴールの銅像。
ド・ゴール率いる「自由フランス」のシンボル、
ロレーヌ十字形の花束です。


午前中のセレモニーが終ったあと、さっそくシャンゼリゼに行くと、両サイドに三色旗がひるがえっていて、この上なくキレイ。中程のグランパレ近くでは、午前中にマクロン大統領が花束を捧げた第二次世界大戦の英雄シャルル・ド・ゴールの銅像が、ひときわ立派に見える。そこから遠くないセーヌ川近くには、当時のイギリス首相ウィンストン・チャーチルの銅像がある。

この二人がいなかったら、フランスの運命は異なっていたに違いないと思いながら、ド・ゴールの顔を見る。当時、ほとんど無名で
「シャルル・ド・ゴール?」
「誰、それ?」
という程度の若いド・ゴールに、1940年6月18日、BBCラジオを通して、ナチス=ドイツに占領されたフランスにレジスタンスを呼びかけるのを許可したのは、チャーチルだった。ド・ゴールは42歳、チャーチルは65歳だった。その後、激しいレジスタンス運動がフランス各地で展開され、同時に連合軍の大々的援助があり、フランスは自由を取り戻し、勝利の終戦を迎えたのです。

セレモニーが終り、
大きなフランス国旗が飾られた凱旋門に近づく人で大賑わい。

記念撮影する人が交代でポーズ。
私も張り切って笑顔でパチリ。


「戦勝記念日」の5月8日は、シャンゼリゼだけでなく、すべての官庁関係の建物に国旗がひるがえり、一段と美しくなるパリ。この戦いでフランスのために戦い、命を失った人々の記念碑もいたる所にあり、そこにも小さいながら花束が捧げられる。それを目にするたびに、戦勝国の終戦記念日とは、こういうのものかと、しみじみ思う。

この日、パリの至る所にある記念碑に花束が捧げられます。
記念碑にはこの場でフランスのために戦い、
命を落とした人の名と命日が書かれています。

2022年5月3日

海だったパリの名残

パリが海だったのは、人類が誕生するずっとずっと以前のこと。やがて 徐々に水がひいたり土砂が積もって陸になり、動物や人が姿を現し、それからさらに気が遠くるほど年月が経ち、優れたローマ人がフランスを征服し、パリ市が生まれる時代が到来。そのとき建築材料として使用されたのが石灰岩。

石灰岩は水中に暮らす生き物の骨や殻、土などが蓄積されて出来る。そのために化石が多い。石灰岩は採掘しやすく、しかも多少の柔らかさがあるので加工や彫刻もやりやすい。パリの建造物のほとんどが石灰岩で造られているのは、そのため。パリ市内には採石場がいくつもあり、そこで採掘した石灰岩で建物を造り、緻密な彫刻を施し、美しいノートルダムやルーヴルなどが誕生。採石場は主にセーヌ左岸にあり、右岸はモンマルトルの丘にあったくらいで少なかった。

モンマルトルの丘の採石場


などという事は知っていたけれど、街中のモニュメントの石灰岩に貝殻の化石跡があるなんて、まったく知らずに長年パリに暮らしていた。もっとも、カタコンブにたくさんの化石があるのは、資料に書かれているのでわかっていた。でも、採石場跡につくった600万人もの人が葬られている地下墓地に行く気にならず、従って、そこにある化石を見たこともなかった。

ある日、修復を終えたオベリスクを見るためにコンコルド広場に行き、そこに面したチュイルリー庭園の壁を何となく見て、びっくり。小さい穴が無数にある。しかも、どの石にも穴がある。どうやらそれが貝殻の化石跡らしい、と一緒にいた博学の友人が言う。

それであわてて調べたら、パリは確かに4500万年前は青い水をたたえる海だったと書いてある。ということは、貝殻の化石があっても不思議ではないということになる。化石自体は、例えば、石灰岩の採掘ではがれたり、幾世紀もの間に崩れたりし、その跡だけが残り、小さい穴になったと考えられる。

この壁の右がチュイルリー庭園で左にコンコルド広場がある。
庭園のこの部分は小高くなっていて、見張らし抜群。
ルイ14世の時代には、高位の人しかここにのぼることが許されなかったそう。
今はジュ´ド・ポーム美術館があります。

古い石が積みあげてあるので、気になって近づくと穴がいっぱい。
これが貝殻の化石跡で、石灰岩には無数にある。
建造物に使用した石灰岩はパリで採掘していたので、パリが大昔に海だった証拠。


チュイルリー庭園の壁を注意して見ると、長い年月で積もった汚れで黒ずんでいるのが多い。それをパリの他の建物のように洗浄しないで、そのままにしている。それがいい。歴史の重みがしっかり目に入るから。チュイルリー庭園が生まれたのはルイ14世の時世だったから、17世紀。その時代に採掘した石灰岩を積み上げたかと思うと、感慨もひとしお。しかも化石跡がいっぱい。

巻き貝かなと思っているけれど・・・
このような立派な化石の跡もあって面白い。

その後、パリのアパルトマンの外壁を気を付けて見ると、穴が開いているのが結構多い。これも海の生き物の化石跡かと、見方が変わってくる。中には石灰岩をきれいに削って、ツルツルにしているのもある。あるいは塗装をしているのもある。それには化石跡は見られない。

もしかしたら、珍しい魚や貝の化石の跡に巡り会えるかも、と思うとワクワクしてくる。今後は壁を見るたびに近づいて、化石の跡がないか見る日々が続きそう。

2022年5月1日

5月1日のパリ

5月になって何となく心機一転。4月から5月に変わっただけなのに、リフレッシュした感じ。

この日はメーデーだからデパートも、スーパーもブティックも休業。でも観光地のレストランとカフェはある程度開いている。労働者の祭典のこの日はデモに参加する人が多い。今日だけでフランス全国で100を超えるデモがあるのだから、この国の労働組合の凄さがわかる。フランスの労働組合は100年もの歴史があり、現在は5つの大きな組合があるのだから、半端ではない。

5月1日はメーデーの日だけれど、心が和むスズラン祭の日でもある。幸福をもたらすこの花を大切な人にプレゼントするのです。スズランをプレゼントする習慣が生まれたのは、16世紀の国王シャルル9世の時代。ということで、こちらの歴史はもっと長い。

労働者が声を張り上げながらデモを行う一方、可憐なスズランを愛する人に捧げる5月1日。とかく物事を複雑化するのが好きなフランスらしい。

いつも間にか、たくさんのカモの雛が生まれてヨチヨチ泳いでいる。
こんなに小さいのに、泳げるとはナンと立派なことよ。
それに比べて人間が成人に達するまでの長い事。

ヤギさんはキレイに咲くチューリップを避けながら、
その周囲の雑草を食べている。これもまた感心。

プレゼント用にパッケージングしたスズランが、あちらこちらで売られています。

我が家のバルコニーのゼラニウムも咲き始め、毎朝見るのが楽しみ。

4月は5年ぶりの大統領選で精神的に落ち着かなかったけれど、5月に入って暖房も切れ、気候も爽やかで気持ちがいい。何かいいことがあるような気配がするパリです。