2010年10月2日

サンローランとプレタポルテ

サンローランの
ドキュメンター映画
今パリは華やいでいます。
そう、恒例のプレタポルテ・ショー開催中なのです。
会場の周囲はファッショナブルな人ばかりで、パリコレそのものと同じくらい華麗。

この時期に合わせて、イヴ・サンローランのドキュメンタリーを映画館で上映中。
サンローランの感動的な引退声明に始まり、彼の葬儀、そして50年間に及ぶパートナーであり、育ての親のピエール・ベルジェが過去を振り返りつつ、ふたりの出会い、メゾンの設立、業績などを語りと映像で展開していきます。

サンローランはオートクチュールのデザイナーとして、
最初にプレタポルテを手がけた人。
この時期に上映するなんて、さすがベルジェです。
彼はこのように、
サンローランのために最善を尽くしてきた人なのです。
ベルジェがいなかったらサンローランは、
今日語られているような人物にはなっていなっかたはず。

サンローランのプレタポルテのブティックを
セーヌ川左岸にオープンしたのも、理由がある。
オートクチュールのメゾンはすべて右岸。
右岸はブルジョワ階級の地域なのです。

オートクチュールは値段が高くて、
お金持ちしか着れない服ばかり。
それに対してプレタポルテは価格も近づきやすいし、
気軽に着れる。
サンローランのプレタポルテのブティックが、
10月1日のデイオールの
プレタポルテ・ショー
学生街のある若者たちの地域、
左岸にオープンしたのは、
それに対抗するため。
「モードが一部のお金持ちのためだけだったら、
とても退屈なものになってしまう」
と、サンローランも語っています。
サンローランに刺激され、
他のオートクチュールのデザイナーもプレタポルテを手がけるようになり、デザイン、材質ともに向上。

パンタロンやスモキンーグなど、
メンズウエアを女性の服に取り入れるというアイディアを持ったのも
サンローラン。
それにより女性たちは自信や権力を持つようになる。
信じられないことに、パンタロンを女性が着用してはいけない、
という法律まで昔はあったのです。
数十年前前まで、パンタロンの女性は
高級レストランに入れなかった。
サンローランは勇気をもってそれを改革。
社会現象まで起こした偉大な人なのです。

シャネル、ディオールと並んで20世紀を代表するサンローラン。
今まで公開されなかった貴重な映像も豊富で、必見の映画です。