2015年8月17日

ロシア、サンクトぺテルブルク 

夏でもセーターが必要な、とてもとても涼しいサンクトぺテルブルク。ピョートル大帝が造ったヨーロッパ的なこの都市で、見たいものは決まっていた。というより、それが見たいがために行ったのです。
作品の数が膨大な
巨大なエルミタージュ美術館。

見たかったのは、エルミタージュ美術館のレンブラントの「放蕩息子の帰還」と、マティスの「ダンス」。ピョートル大帝から最後の皇帝ニコライ二世までが葬られているペトロパブロフスク大聖堂。ラスプーチン暗殺の地のユスポフ宮殿。

エルミタージュ美術館は想像以上に作品が多く、場所が充分ないかのように作品がひしめき合っている。これほど巨大な宮殿が必要だったのかと、しみじみ思うほど広い。やはり権力の象徴なのかしら。

「放蕩息子の帰還」は、その絵の解説を一時間たっぷりしているテレビ番組を見て感動し、ぜひ本物の前に立ちたいと思っていた作品。やはり本物はいい。やはりレンブラントはいい。感動、感動、心が締め付けられるほど感動。「ダンス」はロシア貴族が自分の館に飾りたいために注文した作品なので、その大きさを味わいたかった。これほと大きな絵を飾る大邸宅に、革命前の貴族たちは暮していたのですね。

ペトロパブロフスク大聖堂手前の
ピョートル大帝像。
膝をさわるといいことがあるそう。

歴代の君主が葬られているペトロパブロフスク大聖堂は、要塞の中にあるので、ひときわの趣がある。ロマノフ家はどの君主も大きな個性を持っていて、誰もが興味深い。偉大な人生を送った人のお墓を見ると、読んだ歴史書の内容が勢いよく蘇り、すごく感激する性質。思った通り、ピョートル大帝やエカテリーナ二世の棺は飛び切り立派で、しかもきれい。

皇帝に継ぐ高位の貴族ユスポフ家の宮殿。高尚な趣味が伝わります。


ユスポフ宮殿にラスプーチンを誘い、
暗殺を実行した王子(左)と、
ラスプーチン(右)
歴史上重要な現場にいるような
迫力ある演出。

そして・・・
ああ、ぜひぜひ見たかった優雅極まりないユスポフ宮殿。革命を逃れた貴重な家具調度品がたくさん残っている宮殿。皇帝と皇后に取り入り、政治にまで口出しをしていた祈祷僧ラスプーチンに、国の将来を案じたユスポフ家の若いプリンスが暗殺を企て、実行。彼は超高位の、しかも、これほど美しい貴族がいたのかと、うっとりするほどの麗しいプリンス。その名はフェリックス・ユスポフ。

自分の宮殿にラスプーチンを招き、毒を盛った食事で暗殺を企てた、その場面が人形入りで再現されているので迫力満点。彼が住んでいたのは、洗練の極めをつくした優美な宮殿。ラスプーチン暗殺で皇帝の怒りをかい、サンクトぺテルブルクから追放され、そのために革命で命拾いし、パリに亡命したそれはそれは美しいプリンスの宮殿。「カルティエと王家の宝石」に詳しく書くために、いろいろ調べただけに興味津々。

サンクトぺテルブルクの夏は涼しくて観光に最適。次回はドストエフスキーの作品に登場する場所を訪問したい。学生時代に夢中になって読んだ彼の作品の多くの舞台はサンクトぺテルブルクなのだから。今からワクワク。セーターをいっぱい持っていこう。