2016年3月3日

マリー・アントワネット 絵で辿る生涯 63

生まれ持った気品が
全身からほとばしっていたルイ・シャルル。
王子が家族と離れ、3階で元靴屋のシモン夫婦と暮すようになったとき、彼は8歳の美しい少年でした。ブルーの大きな瞳と細いブロンドは、母譲りで、そうした息子をマリー・アントワネットは溺愛していました。

王子とシモン。
好奇心旺盛で、おしゃべりで人好きなルイ・シャルルは、すぐにシモン夫婦になつきます。当初は母を求めて泣いていた王子でしたが、それも数日間で、間もなくして監視員たちとも打ち解け、一日の大半を過ごすようになったのです。

監視員たちがふざけて革命家の帽子を被せると、それを被ったままおどけたりさえもするようになります。意味もわからないまま、革命の歌をうたうこともありました。

礼儀作法もなければ、勉強もない。毎日遊びながら日が経っていきます。このようにして、王子の身分を一刻も早く忘れさせるようにという、革命政府の成果は着実に実を結んでいったのでした。