ピガール (2,12号線)
実際、ピガール駅の界隈はパリには珍しくネオンがきらめき、バーが軒並みだし、
フレンチカンカンで有名なキャバレー、ムーランルージュも近い。
このメトロの駅名は、そうしたイメージと合わない18世紀の偉大な彫刻家、ジャン=バティスト・ピガールを表していています。
18世紀の偉大な彫刻家、ピガール。 |
彼がモンマルトルに暮らしていた当時は、ゆるやかな傾斜を利用してブドウ畑が広がり、何台もの風車がゆっくり回る牧歌的情緒あふれる絵のような丘だったのです。この地をこよなく愛したピガールが暮らしていた家があった道路は、後年、ジャン=バティスト・ピガール通りとなります。作曲家ラヴェルやバルビゾン派の画家も住んでいました。
ピガールの名を一躍有名にした代表作。 「踵に小翼をつけるメリクリウス」ルーヴル美術館。 |
ピガールはルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人に才能を認められ、庇護を受け、大活躍します。彼女が持っていた館の庭を飾るために、数点の彫刻を手がけ、現在はルーヴル美術館に展示されている秀作です。
ランス市の「王の広場」にあるルイ15世像。 革命で国王の像は破壊され、後年に再現されましたが、 台座はピガール作の当時の貴重なもの。 |
「ダ・ヴィンチ・コード」で一躍世界に名を広め、訪問者が急増した学生街のサン・シュルピス教会にも彼の作品があります。「聖母マリア礼拝堂」の聖母子像と、バロック様式の個性的な聖水盤の台座です。
聖水盤は「ルネッサンスの父」と呼ばれているフランソワ一世が、ヴェネティア共和国から贈られた由緒あるもの。力強い動きがあるその聖水盤と、ピガール作の台座がきれいなハーモニーを奏でています。