2019年9月19日

エッフェル塔 130年


1889年のパリ万博の際に建築された「鉄の貴婦人」エッフェル塔は、今年130年記念を迎え5月には華やかな光のスペクタクルが催され、エッフェル塔がパリのシンボルであることを再認識したものです。そして9月18日には特別番組がテレビで報道され、今まで知らなかった多くのことを学び、ますます関心が高まりました。例えば完成した当時塔は赤だったとか、エレベーターは電気ではなく水力で動いていて、しかも今でも一基はその時代の装置を使用して水力だなどといった裏話が面白い。

エッフェル塔が建築された1889年のパリ万博会場。

1889年は日本は明治22年で多くの人が和服を着ていた時代。その年に300メートルもの高さの鉄の塔をパリのど真ん中に建築したことは、驚異です。それはフランス人の技術がいかに優れているかを、それを許可したパリジャンの進取の気性に富む素晴らしさを、世界に知らしめたのです。エッフェル塔建築以前と以後の間には、目に見えるものだけでなく精神面でも大きな違いがあるように思えます。

それにしてもフランス革命100年記念の年に、このような塔が建築されたことに改めて驚きを感じます。いいかえれば、その100年前まで重税や厳しい身分制度に苦しむアンシャン・レジームだったのに、強靭な鉄でレースのような軽やかさを見せる近代的な建造物を100年後に完成させるほどになった驚異的進歩は、私には信じがたいことです。天に向かって誇り高くそびえ立つエッフェル塔は下から見ると、国民の自由の凱歌を奏でているようです。喜びが空に向かって勢いよく、しかも優雅さを伴いながら舞い上がっている姿は、いつ見ても美しい。

この記念すべき年に私なりに国立図書館などの資料を調べ、興味深いと思われる写真をいくつか選んでご紹介します。

塔の建築が始まる2年前、1887年のシャン・ド・マルス。
初期のデッサン。

基礎工事開始。


順調に進む塔の建築。
前代未聞の鉄による建築美を見せる誇らしげなエッフェル塔。
建築期間はわずか2年2ヵ月。
塔にのぼってカメラに納まる
技師であり建築家ギュスターヴ・エッフェル-(1832-1923)