2019年9月11日

メトロの駅名は語る 133

Goncourt
ゴンクール(11号線)

19世紀を代表するフランス作家、ゴンクール兄弟の名を表す駅名。

エドモン・ド・ゴンクール
(1822-1896)
ジュール・ド・ゴンクール
(1830-1870)

日本の芥川賞、直木賞に当たるゴンクール賞で名が語られているゴンクール兄弟は、共作「日記」で高く評価されています。この大作の執筆途中で弟ジュールが病で亡くなりますが、その後も悲しみを乗り越えて兄エドモンが書き続けました。当時の社会情勢、芸術や文学の動き、多くの作家たちの私生活も書かれている大変興味深い写実的作品です。

ゴンクール兄弟

大作「日記」

日本にとって重要なことは、兄エドモン・ド・ゴンクールがジャポニズムをフランスに普及するきっかけを作ったことです。西洋美術と全く異なる浮世絵に魅了されたゴンクールは、作品をコレクションしていただけでなく、1891年に「歌麿」をそして1896年に「北斎」を出版。これによって精妙な日本の芸術がフランスに紹介され驚きと影響を与え、日本人には浮世絵の価値を知らしめることになったのです。

エドモン・ド・ゴンクールは弟と共に残した資産をもとに文学賞設立を希望し、彼の遺言通りに1902年ゴンクール賞が誕生し、現在ももっとも権威ある文学賞となっています。