2020年8月6日

レバノンの大惨事

8月4日、レバノンのベイルート湾岸地帯で2度にわたる大爆発があり、フランスでは連日トップニュースになっています。救援活動のためにフランスから3機の軍用機が直ちに飛び立ち、6日にはマクロン大統領が首相、外務大臣、そのほか関係者を伴って現地入りしました。レバノンの国民に、フランスはこの耐え難い苦しみ、怒り、悲しみを分かち合い、援助を惜しまないことを伝えるためです。

レバノンとフランスの関係は深く、第一次世界大戦後からレバノンはフランス委任統治領だったのです。けれども第二次世界大戦初期、フランスがドイツに占領されている間の1941年に独立宣言をし、1943年に正式に独立。

このような経緯があるめにフランス語を話すレバノン人が多いし、レバノンに暮らすフランス人も多く2万人を超えているそうです。地中海沿岸の首府ベイルートの街並みは、まるでパリのように美しく、実際に「中東のパリ」と呼ばれているほど。

経済危機、食料危機にみまわれているレバノンが、今回の爆発事件でさらなる窮地に陥るのを見逃せないと、宿敵とされている国でさえも大規模な援助を開始。地中海交易で活躍し、要所に植民地を建築したり、アルファベットの基礎をつくった古代の偉大な文明人であるフェニキア人のふるさと、レバノン。

国旗の中央に描かれている杉からわかるように、レバノン杉は国の象徴。丈夫なので船や建物に適した木で、しかも品格ある香りを放ち多くの国が手に入れたいと思う針葉樹。パリの植物園に立派なレバノン杉がありますが、これはルイ15世の時代、1734年に偉大な植物学者ジュシューがロンドンから苗木を持ってきて植えたもので、旅の途中で傷まないように帽子の中に入れてきたと記録が語っています。その後年月をかけて見事に育ち、現在も枝をなびかせながら訪れる人々の賞賛をかっています。

レバノンの国旗

多くの国が団結して援助を行い、一日も早く大惨事から立ち直ってほしいと祈るばかりです。