2021年5月1日

スズラン祭

 5月1日のスズラン祭の日を迎え、本格的な春です。

大切な女性にスズランを贈る日があるなんて、フランスはやはりいい国。幸せのシンボルのスズランは、この日は誰がどこで売ってもいいことになっていますが、昨年に続いてコロナのために制約があり、街中にスズランがいっぱい、ということにはなりません。

それでもフラワーショップやスーパーで、スズランの小粒のお花を見るのは心がなごみます。スイーツのお店では、スズランを飾ったディスプレイで目を楽しませてくれます。

スーパーでは入り口の近くに飾って、ひと目をひいています。

チョコレート店で、控えめながら愛らしいお花を見せる
アーティフィシャルなスズラン。
チョコと一緒にスズランをプレゼントする人も多いようです。


スズラン祭のきっかけを作ったのは、以前のブログでも少し書いたように、フランス国王シャルル9世でした。

彼が10歳のとき、母親のカトリーヌ・ド・メディシスとフランス南東のドローム県を訪問します。当初、アヴィニオンに行く予定でしたが、カトリックとプロテスタントの宗教争いが激しく、危険なので、アヴィニオン入りをあきらめます。その時、その近くのサン=ポール=トロワ=シャトーに屋敷を持っていた、カトリーヌ・ド・メディシスの信頼を受けていたメゾンフォルド騎士が、自分の館に招き、庭園を共に散歩していた時、咲いていたスズランの花をカトリーヌ・ド・メディシスにプレゼントしました。

国王になって間もない1561年のシャルル9世(1550-1574)

それに感激したデリケートな感性の持ち主のシャルル9世は、翌1561年から、スズランがきれいな花を咲かせる5月1日に、彼の宮廷の女性たちにスズランを毎年プレゼントすることにしたのです。フランス・ルネサンスの時代の美しいお話です。

女性とスズランはよく似合います。フランスの歴史上名高い二人の女性がスズランと一緒に描かれた絵があります。どちらも才女で、すご腕で、権力者でしたが、可憐なスズランが近くにあると、やさしく感じられるから不思議。これもスズランのお蔭でしょう。

スズランのヘア飾りをつける、
若き日の王妃マリー・ド・メディシス(1575-1642)

庭園で花を摘む、ルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人(1724-1764)