結婚後、長い間子供に恵まれなかったルイ16世とマリー・アントワネット。それだけに、長女に続いて世継ぎの皇太子、ルイ・ジョゼフ・グザヴィエ・フランソワが生まれた時には、国中が大喜び。名門ハプスブルグ家から迎えた王妃は若く美しく、世継ぎも生まれ、フランスの未来は保証され、数日間にわたって全国でお祭り騒ぎ。
待望の世継ぎ誕生を喜ぶ国王一家。 |
1781年10月22日に誕生した皇太子。 1789年6月4日に短い生涯を閉じます。革命が起きる数日前でした。 |
1781年10月22日の皇太子誕生を知ったパリ市は、それを後世に残る形あるものでお祝いしたいと献上したのが、愛らしい子供たちや愛、ミトロジーなどが描かれた産着入れ。革命時に、どういった経緯をたどったか正確なことは不明ながら、幸いなことにそれがヴェルサイユ宮殿に無事に戻ったのです
国王夫妻に皇太子が誕生した際に、パリ市が献上した産着入れ。 全体が柔らかなタフタで覆われている。 |
蓋にも両サイドにも中にも、幸せ溢れる光景がたくさん。 |
子供たちに囲まれた ルイ16世とマリー・アントワネットのイニシャルが印象的。 それからわずか8年後に革命が起きたとは・・・ |
いつかそれを見たいと切望していたのが、ついに実現。王妃の私室の一番奥まった目立たない所にあり、もちろん、厳重にガラス張りのケースの中に保存。宮殿の管理人の案内でそれを目の前にしたときには、思わず歓声をあげました。かなり傷んでいるとはいえ、というより、それだからこそ、この重要な記念品の歴史的価値に感激しないではいられなかったのです。
マリー・アントワネットの胸像が置かれている、 王妃のプライベート図書室。 この奥の暗く小さな部屋に、産着入れが保存されている。 |
修復工事が年中いたる所でなされているヴェルサイユ宮殿。またいつか新しい発見があるかもしれない。地中海料理が飛び切り美味しいオシャレなレストランも、近くに見つけたし、ますます惹かれる宮殿。パリから遠くないから、いつでも気軽に行けるのもうれしい。
金箔がひときわ輝いて見えた快晴の日。私の心も快晴。 宮殿を背にしながら、 その向こうに広がる街の光景を見るのも趣があっていい。 |