今回の国民議会選挙はフランス中を熱狂させ、7日の決戦投票に向けての各党の戦略は日に日に激化。それに加えて著名人が公に意見を述べたり、呼びかけたり、デモも連日のように行われ、フランス全土が熱気に包まれ、投票日にはまるで非常事態のような警戒。内務大臣の発表によると、フランス全土に3万以上の警察官と憲兵を派遣。
新たな議員を迎える国会議事堂。 |
極右の国民連合が絶対多数を得るのを何が何でも阻止しなければならぬと、与党連合と左派連合がそれぞれの選挙区の候補者を一本化することに同意。そのために立候補を取りやめて犠牲になった人も多い。これが民主主義の国がすることかと非難もあるけれど、それが実って極右の絶対多数獲得を崩したと見られています。
内務省発表の総選挙の結果は、左派連合は182(180という報道もある)、与党連合は163、極右翼連合はわずか143となり、予想に反して左派連合が第一位。
それにしても、フランス、アメリカ、イギリスといった大国で、ほぼ同じ時期に選挙戦というのが不思議。日本も都知事選が・・・
イギリスは労働党が政権を握り、フランスの選挙戦ではマクロン大統領離れが目立ち、与党は大統領の名を出すことがかえってマイナスになると判断したようで意図的に控え、「彼」とか「国家元首」とか表現。
35歳のアタル首相を「私の弟」と親し気に呼んでいたけれど、その「弟」の解散反対の声にも耳を貸さず、二人の中は冷却。それでも大統領から与党連合の選挙戦のイニシアティヴを取るよう依頼され、ガブリエル・アタルは全国に足を運び、熱弁をふるい立候補者の応援をし、票の獲得に大きく貢献。一回目の投票の後の各党の党首はコメントを党本部から述べたのに対し、アタル首相はエマニュエル・マクロンが設立した党本部を避け、首相官邸を選んだことから、「兄弟」の関係悪化がいかに大きいかわかる。今回の選挙戦で大活躍し、与党連合の票を伸ばしたのはアタル首相。マクロン大統領は彼に感謝すべきという声が多い。
みんなに見放された 孤独なマクロン大統領 Le Frigaro Magazine |
35歳のガブリエル・アタル首相。 今回の総選挙でその実力を発揮し、 与党連合に大きな貢献をしたと評価されている。 |
わずか7年前に66%もの支持を得て、画期的な勝利で39歳で大統領になり、次々と改革を打ち出し、新しいフランスを目指していたエマニュエル・マクロン。今や側近からも見放され四面楚歌の状態。どの写真を見ても疲れ切っていて、急激に年を取った感じ。
今後は内閣がどのような形になるか、それがヴァカンス先でも話題。どの党も過半数に満たないので、首相を誰にするかが大問題。通常は最大の議席を得た党から選ぶ。今回は左派連合がそれにあたるが、複数の党から成り立っていて、その間でも争いが生じているから複雑。
オリンピックも控えているので、国に混乱を起こさないために当面はアタル現首相に留まるようマクロン大統領が要請。本格的組閣はオリンピック後の9月になるのではないかと推測されている。ということで、今のところは未来の首相も、連立内閣になるのかも不明。マクロン大統領は選挙後は声明を発表しなかったし、姿も見せていない。7月14日の軍事パレードも、オリンピック準備のために今年はシャンゼリゼではなく、フォッシュ大通りで開催。いろいろな変化があるフランスです。
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