2011年5月5日

キャサリンのティアラ

ウィリアムとキャサリンの「世紀の結婚」から1週間。 モナコのグレース・ケリーを思い出させるようなウェディングドレスも話題になっていますが、パリではティアラも盛んに語られています。
というのは、キャサリンが結婚式で付けたティアラが、フランスの宝飾店カルティエの逸品であるため。

イギリスには由緒ある宝飾店がある。それなのにキャサリンが晴れの日に付けたティアラの国籍はフランス。とは言うものの、新たに注文したのではなく、エリザベス女王が彼女に貸したのです。

1936年のこと。当時のヨーク公、後のジョージ6世が、お気に入りの宝飾店カルティエに、妃エリザベスのために注文したのがそのティアラ。その同じ年にヨーク公の兄エドワード8世が、王位を捨て二度の離婚暦のあるシンプソン夫人と結婚。この前代未聞の事件により、ヨーク公はいやいやながら国王になったのです。彼とその妃の人柄は映画「国王のスピーチ」でよくわかります。

ヨーク公からプレゼントされたティアラは、1936年のレセプションで妃の頭上に輝いていました。当時大流行したアールデコの素晴らしい作品です。
その後、そのティアラを公の場で見かけることはほとんどなく、時が経ち、現女王エリザベスが王女だった18歳のバースディに、王妃である母がプレゼント。

ところがエリザベス王女は、それを公式の場につけることはなかったのです。
父亡き後、王位を継いで女王になってから、娘アンが何回か使用したという記録はあるものの、いつからかそのティアラは、王家の宝飾庫の奥に眠るようになったのです。

今回の結婚式で久々に人々の目にふれたティアラ。
キャサリンのシンプルな人柄とも、ドレスとも、なんと似合っていたことか。
すべてが自然で、決して目立とうとしないキャサリン。
国内外で圧倒的人気があるのも、そうした飾りけなさに好感をおぼえるからでしょう。
多くの女性に影響を与える予感がします。