2014年9月22日

ナポレオンの母が住んでいた大邸宅


9月第3ウィークエンドは世襲財産の日。
この日には歴史的建造物が一般に公開され、
誰でも訪問することができます。
大統領官邸、首相官邸、迎賓館、大使公邸など、
並ぶことを覚悟すれば、無料で見られるのだから素晴らしい。

ナポレオンの母
レティツィア
今年は絶対に国防省に行くのだと決めていた私。
朝早くに、軽装でウキウキしながら7区の国防省に向うと、思ったとおり行列。
雨模様だからきっと人も少ないだろうと安心していたのに、いやいやパリジャンはマメというか、自分たちの街にある歴史的建造物にいかに関心が深いか、改めて知りました。


階段上でナポレオンの肖像画が
待っています。
なぜ国防省にこだわっているのか。
それにはわけがあるのです。
実は、この建物には、ナポレオンの母レテイツィアが住んでいたのです。
彼女に関する本「息子を国王にした女たち」を書いた私としては、皇帝の母となったレテイツィアが、パリでどのような館に住んでいたかに興味を抱くのは当然。
思った通り素晴らしい大邸宅で感激もひとしおでした。

音楽の間
現在国防省になっているこの大邸宅は、1725年にブルボン侯爵の愛人、プリ侯爵夫人の住まいとして建築が開始されました。その後数人の高位貴族の手を経た後に、革命で没収され、1802年に内務大臣だったナポレオンの弟リュシアンが購入。
1804年に皇帝になったナポレオンが、この館に母レテイツィアを住まわせることにし、彼が失脚するまで母后のパリの住居だったのです。
そのために第一帝政様式の装飾も見られるし、第一、ナポレオンの大きな肖像画も飾ってある。彼が使用した家具もある。
分厚いカーペットや瀟洒な家具、絵画、シャンデリアなどが、皇帝の母にふさわしい輝きを発していて、ただ感激、そしてまた感激。

レテイツィアは実際には質実剛健の女性だったようですが、やはりフランス皇帝の母にふさわしい生活を営む必要があったのでしょう。

ナポレオン失脚後に共和国政府が買い取り、戦争大臣の館となります。
さらに時が経ち、世界大戦で名をなした偉大なクレマンソーやドゴールが執務室をとり、おふたりの記念の品々も多数保管しています。

いくつもあるサロンのひとつ。

けれども私には、ナポレオンの母の住まいだったことがもっとも印象的だし重要。念願が果せて最高に幸せ気分です。体全体で受けた素晴らしい輝き、心が一段と喜んでいるのがわかります。幸せホルモンのセロトニンが今日もたっぷり増えたかな。


広々とした会食の間。
いくつもある窓から見える内庭が素晴らしい。