2017年3月10日

メトロの駅名は語る 29

Porte de Clignancourt
ポルト・ドゥ・クリニャンクール

「クリニャンクールの門」という意味のこの駅名は、かつて、その地にあった村クリニャンクールが語源です。
サン・ドニ修道院の敷地入り口にあった門。
1779年に取り壊されました。
クリニャンクールはサン・ドニ修道院、後のサン・ドニ大教会堂に所属していました。250年頃の聖人サン・ドニの墓があった場に、教会が建築され、それが数世紀にわたって拡大され、現在見られるゴチック様式の美しい建造物になったのは、12世紀半ば。歴代のフランス王家の人々の埋葬地になっているために、多くの人が訪れます。

のどかな村だった時代のクリニャンクール。
村だった時代のクリニャンクールでは穀物やブドウを栽培していましたが、その後土地が分割され複数の人が領主になり、1860年にパリ18区となります。

旧城壁の外は土地が安かったので、
貧しい人々が住むようになり、
生活のために持っていた品を売るようになります。
19世紀半ばにパリを取り囲む城壁が造られ、数箇所にパリの出入りの際に使用する門が誕生し、「クリニャンクールの門」もその時代に建築されました。

けれども1919年に城壁が解体され、その外側にあったクリニャンクールがパリ入りし、土地が手ごろだったために、経済的に苦しい人が住み、生活のために不必要と思われる品を並べて売るようになり「蚤の市が始まったのです。

不必要な品を路上で売るようになり、注目されます。1923年。
今日はパリ最大の規模を誇る「蚤の市として、世界的に名を成しています。
信じられないほど種々様々な品を売っていて、見ているだけで楽しい。
私もテーブルや花瓶を買ったこともあるし、シャンデリアのクリスタルが落ちて壊れたときに、買い足したこともあります。

最近はちょっと足が遠のいています。 
なぜなら、パリの街中に小規模ながら「蚤の市」が移動してくるから便利なのです。 何でも時代と共に変るものですね。