2019年8月3日

メトロの駅名は語る 130

Maubert-Mutualité 
モベール・ムチュアリテ(10号線)

近くにあるモベール広場とムチュアリテ・シアターの二つの名からなる駅名。

モベールはサント・ジュヌヴィエーヴ副修道院長アルベールの名の変形だとされています。学生街のパンテオン近くにあったサント・ジュヌヴィエーヴ修道院の12世紀の副修道院長アルベールが、現在広場がある地に食肉用の陳列棚を設けたために、モベール広場と呼ばれるようになりメトロ名にもなったのです。この広場に本格的マルシェが置かれたのは16世紀で、パリでもっとも古い歴史を持ちます。庶民的で親しみ深く近くには手ごろなプライスのレストランが多数あり、家族連れや若者たちで夜遅くまでにぎわっています。

着飾ってマルシェ・モベールを散策する人がいたほど
人気がありました。18世紀。

サント・ジュヌヴィエーヴ修道院。

6世紀に建築されたサント・ジュヌヴィエーヴ修道院は、カトリックの重要な修道院で、その後何度か建て替えられ、革命の際に激しく破壊されほとんど姿を消してしまいます。幸いなことにわずかだけ残っていて、アンリ4世高校の一部になっています。

              ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ムチュアリテ・シアターは1931年にオープンし様々な催しに使用されています。当時の建築用式を取り入れたアールデコの外観は、歴史的記念物に認定されています。当初の客席はフランス革命が始まった年を象徴するために1789席ありましたが、現在は多少減り1730席。社会党の集会に使用されることが多かったし、1965年10月24日にはアメリカのマ―チン・ルーサー・キング牧師が、3500人もの聴衆者の前で感動的な大演説を行っています。それからわずか2年半後にキング牧師はテネシー州で暗殺されます。

ムチュアリテ・シアター。
コンサートも開催されますが、
政治家の演説会場として使用されることも多いです。
ムチュアリテ・シアターで演説を行った
マ―チン・ルーサー・キング牧師。