2019年11月17日

ヴェルサイユ宮殿、リヴァイヴァル展。

2019年11月19日から2020年3月15日まで、ヴェルサイユ宮殿内の特別会場で興味深い展覧会を開催。15日に内覧会がありじっくり鑑賞しました。しかもこの展覧会の最高責任者の丁寧な解説つきという贅沢なもの。

ブルボン朝のヴェルサイユ宮殿における華麗な宮廷生活は、いつの時代にも憧れを抱かせますが、今回の展覧会では1867年から1937年に焦点を合わせ、その時代にいかに多くの人がかつての栄華にノスタルジーを感じていたかを伝えています。

パリ万博が開催された1867年は第二帝政時代で、フランス皇帝ナポレオン3世のお妃ウジェニーが、マリー・アントワネットの熱烈な崇拝者だったために、宮廷が置かれていたチュイルリー宮殿はヴェルサイユ時代を彷彿とさせる華麗なものでした。服装も社交も芸術的な食卓も何もかも、ブルボン朝絶頂期のアンシャン・レジームへの郷愁を掻き立てないではいませんでした。

かつての栄光時代を飾った家具が再現されるようになり、瀟洒な邸宅を飾り、画家たちはヴェルサイユ宮殿の庭園や宮殿の部屋を描き、プルーストをはじめ作家が美しい文体で描写していました。1896年にロシアの二コライ2世皇帝がフランスを訪問したときには、庭園でアンシャン・レジームと同じように劇が演じられ、1912年には宮殿の複数の内装をほどこした「洋上のヴェルサイユ」と呼ばれる豪華客船フランス号まで誕生。パリ万博が開催された1867年から、第二次世界大戦がはじまる2年前の1937年は、いわばヴェルサイユが蘇った時代、再生の時代だったのです。こうした時代があったから、革命で荒らされたとはいえ、ヴェルサイユ時代の華麗な炎は消え去ることはなかったのでしょう。


展覧会の入り口からすでに別世界。貴族の館に招かれたよう。
1867年のパリ万博の際に、
プティ・トリアノンのマリー・アントワネットの居室を再現し、
それを今回の展覧会で再び再現。
王妃の居屋の左手の家具の上に
10歳で悲惨な最期を迎えた王子の素焼きの胸像があります。
1855年8月21日、イギリスのヴィクトリア女王が、
マリー・アントワネットがこよなく愛した村里を訪問した際の絵が
後に描かれました。
庭園にいるような心地よい展示室もあります。
アンシャン・レジームのころのように、
19世紀に「鏡の回廊」で舞踏会も催されました。
1923年6月、ロシアの芸術プロデューサー、ディアギレフが
「鏡の回廊」でバレエ公演を実現。
バレエを愛し自ら太陽に扮して踊ったルイ14世へのオマージュ。
ルイ15世と公式愛妾デュバリー夫人を描いた
19世紀の絵。
ルイ16世一家が庭園内にある運河で、
ゴンドラに乗っている様子を想像して描いた
1892年前の作品(推定)。
1912年に就航した豪華客船のファーストクラス(絵の最上階)は、
ヴェルサイユ宮殿の部屋を再現。
227メートルの客船フランス号は「洋上のヴェルサイユ」と呼ばれていました。
充実した展覧会を堪能し、カクテルに向かう手前に
庭園の大きな写真(らしきもの)があり見ていたら、
突然、白いドレス、白い帽子の女性がゆっくり現れてびっくり。

誰かが「マリー・アントワネットだ」と声をあげ、
「そうだ」「そうにちがいない」「王妃もリヴァイヴァルしたんだわ」
皆、大騒ぎしながらスマホで彼女と記念撮影。

こんなお洒落なサプライズがあるなんて、ますますヴェルサイユ宮殿にはまります


ビュッフェでいただいたお料理は美味ばかり。
アントレは野菜を取り入れたのが多く、
メインの肉料理はやわらかく煮込んであり、
外の寒さを忘れさせるほど温かい。

デザートはさずがグルメの国。
適度な甘さと美しい色、形が芸術的で種類豊富。
ヴェルサイユ宮殿ならではのお・も・て・な・しでした。