2020年1月31日

中国の旧正月、祭典は春に延期

1月末から始まる中国の旧正月の祭典は、パリ在住の中国人だけでなくパリ市民も楽しみにしているイヴェント。特に中国人が多い13区は、毎年色彩豊かで華やかな行進を繰り広げ、多くの人々を引き付けています。

異国情緒あふれる13区のこのイヴェントは、今年は2月2日、日曜日に予定されていましたが、急遽取りやめになり春に延期されると発表がありました。もちろん、新型コロナウイルスが原因。テレビニュースのトップは連日、ウイルスに関連した情報、状況の詳しい報道が続いています。

中国の旧正月をお祝いするサントノレ通りの装飾。
高級ブテイックが居並ぶこの通りは
いつも中国人でにぎわっていますが、
今はほとんど姿を見かけず、閑散としています。

今までどのデパートも、中国に来たかと思うほど中国人の買い物客が多く、その人たちに対応する販売員も中国人、館内のアナウンスも中国語だったりしたのです。シャネルやルイ・ヴィトンの前には長い行列があり、係員が誘導する。その誰もが中国人。ところが新型コロナウイルスの拡散を防ぐために、中国からの団体旅行は禁止になり、パリのデパートは人がまばらで活気がないし、ホテルやレストランは大々的な損失と嘆いています。タクシーの乗車拒否もあるし、ドライバーが中国人風だと分かると乗らない人もいるという。

パリでは差別という表現がますます増えています。実際に、中国からの荷物を受け取るのに危険性はないかとか、中華レストランで食べても大丈夫かとか、中華街の食糧品店の品はさけるべきかといった問い合わせが頻繁になっているそうです。中には中国人と分かると自分の国に戻りたまえと、面と向かって言われた人もいたそうです。メトロやバスに乗ると乗客の中にはにらみつけて遠ざかる人もいるという。

問題は日に日に増える「アジア系の人を差別」という表現。アジア系となるとそこには日本も入る。これはどうもアジアの国々にウイルスが多く広がっているからのようです。幸いなことに常識あるフランス人は知っています。日本人と中国人は顔も、服装も、話し方も歩き方も礼儀も異なることを。ですから「アジア系の人を差別」には、日本人は入らないと思っています。私も長年パリに暮らしていますが、中国人に間違えられたことは一度もありません。友人たちも同じだといいます。差別など感じたことはありません。

オリンピックも迫ってきているので、これが解決しないと中国選手が競技に参加できないかもしれないし、中国人観客も来れないかもしれない。他の国の選手たちが拒否することも考えられる。となるとオリンピックは延期になるかもしれない。日本側の準備も整い、世界中の選手たちも競技に備えて訓練を重ねているのだから、中止にはしてほしくない。

アメリカは中国への渡航を禁止を勧告したし、エール・フランスもブリテイッシュ・エアウェイズも中国への運航停止。中国人に対する差別がますます深まりそうな気配が感じられます。差別ではなく自己防衛だと言うフランス人も多いけれど、どちらにしても中国人、あるいはアジア人を避ける傾向が強まっているのは確か。

世界が団結して一日も早く新型コロナウイルスを一掃してほしいと、心の底から願っています。