イギリス女王エリザベス2世の王配、フィリップ殿下が4月9日に99歳で亡くなられ、フランスではトップニュ―スとして報道していました。貴重な生前の映像が流されましたが、特に注目されたのは、流暢なフランス語で挨拶したことです。実は、フィリップ殿下は子供時代をフランスで過ごしていたのです。
ギリシャ王子アンドレアスの子供として生まれたフィリップ殿下は、その翌年のクーデターで祖国を後にし、家族ともどもフランスに亡命したのです。その時滞在していたのは、パリの西郊外にあったサン・クルーでした。
フィリップ殿下の父母。1903年 |
サン・クルーには、父の兄であるゲオルギオスの妃、マリー・ボナパルトが瀟洒な別荘を持っていました。マリー・ボナパルトはナポレオン・ボナパルトの弟ルシアンのひ孫で、母方の祖父がモナコのカジノ創立者で、破格の大富豪。莫大な遺産を相続し、裕福な生活を送っていたのです。フィリップ殿下の伯父にあたるゲオルギオスは、サン・クルーの館で生涯を閉じています。その後、フィリップ殿下はイギリスに渡り、そこで高祖母ヴィクトリア女王に迎られ、高度な軍事教育を受けるようになったのです。
フィリップ殿下の父アンドレアスは第二次世界大戦が終わる直前に、モナコで生涯を閉じました。大戦中は、ドイツに協力していたヴィシ―政権下の南仏に滞在していたために、敵となったイギリス海軍士官だった息子フィリップ殿下に会うこともなく、62歳の生涯を閉じています。
エリザベス王女とフィリップ殿下の結婚式。1947年11月20日。 |
1947年にエリザベス王女と結婚してからも、軍人としての活躍を続け、1952年にエリザベス王女が女王に即位すると、軍歴を終え、王配として常に傍らで支えていたのでした。軍人のりりしさがあり、エレガントで機知に富み、親しみ深かったフィリップ殿下は、多くの慈善団体を積極的に支援していました。
数日後に、軍人だったフィリップ殿下にふさわしい儀式が、亡くなったウインザー城の聖ジョージ礼拝堂で執り行われるそうです。
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