2020年1月11日

パリの犬たち 219

新しい年になったんだって。

「新しい年になったっていうけれど、ちがいがあるの?」
「べつにナンにも感じないよ。景色もかわっていないし、空気も同じ」
「それなのに、どうして人間たちは新しい年、新しい年ってさわぐの?」
「ボクにもさっぱりわからない」
「でも、ちょっと考えてみるネ。エート、エート・・・やっぱりわからない」
「そんなこと、どうでもいいのよ。我が道を行くでいいの。犬は犬、人は人よ」

2020年1月9日

ヘンリー王子夫妻の発表。80年前にも似たようなことが。

イギリスのヘンリー王子夫妻が、高位王族から退きイギリスと北米で暮らす発表をしたと報道で知った時、まず、頭を横切ったのは約80年前のウインザー公爵夫妻のこと。

イギリス国王の座を退位したエドワード8世。
アメリカ女性シンプソン夫人。

エドワード8世が国王の地位を捨てて結婚した相手ウォリスは、ヘンリー王子の妃メーガンと同じアメリカ女性。二人とも離婚歴があり年上なのも共通点。

こうして見ると、イギリス王族とアメリカ女性の結婚は、イギリス本国でスムーズに行かず、世界を驚愕させる結果を生むように思えてなりません。アメリカ女性の明るいオープンマインドは、何世紀にも渡る伝統に包まれて育つ若い王子には、その束縛からの解放であり、明るい自由な未来が確約されているように思え、格別な魅力を感じるのかも知れません。


エドワード8世はウォリスへの愛のために王位を捨てウインザー公爵となり、ヘンリー王子も愛するメーガンの希望で今回の決意を固めた可能性もある。これがイギリス国民に受け入れられないとしても、アメリカやカナダは王子夫妻を大歓迎するだろうし、ウインザー公爵夫妻が生涯を閉じたフランスも、革命を起こした国でありながら、あるいはそれだからこそ王家物語りが大好き。元王族、元貴族をもてはやす人は王室がない国ほど多いのです。

今後の展開が私も気になっています。

2020年1月8日

終らないストライキ、デモ

昨年末から続いている年金制度改革に反対するストライキは、今年になっても続いていて、多くの人の日常生活が困難になっています。交通機関の大混雑は以前にお知らせしましたが、ここ数日間、スーパーに行っても野菜やフルーツ売り場に何も並んでいないので大あわて。幸いなことにマルシェがあるので、何とかなりますが。こんなことは初めて。

9日には大規模なデモがまたあるようで、その日の外出は控えようと思っています。年金制度改革案を政府があきらめない限り、自分たちもあきらめないと労働組合が強気で、いったいいつ終わるか、今のところ先が見えていません。交通機関がほとんどマヒしているから、ショッピングもレストランも控えている人が多く、経済的打撃も大きいようです。

昨年暮れにオペラ座のバレリーナたちが、純白の衣装で「白鳥の湖」の一部をオペラ座入り口で踊り、優雅に年金制度改革に反対の意思表示をしたところ、すぐに見直すとの発表があり「ほら、やっぱりストライキやデモは効果がある」とばかりに拍車がかかっているように感じます。

オペラ座のバレリーナたちの定年は42歳。その後年金が保証されているけれど、これはバレエ大好きで自分も踊っていたルイ14世が、300年以上前に決めたこと。この優遇が革命でも消えることなく続いているのが不思議と言えば不思議。

重装備の機動隊員。すごい迫力。
怖いから早足で通り過ぎる。
歩行者が多い通常の歩道に面した路上に居並ぶ警察の車。
日常見かける光景になっています。

パトカーのサイレンは毎日響くし、機動隊の車の列や重装備の機動隊員の姿を見かけるのも、今では日常のこと。終わらないストライキに悩まされるパリですが、それでもいいことがたくさんあるからパリだから、心が浄化されるのでしょうか。街の至る所で見かける銅像、春に備えて種や球根を植えている公園、歴史を語る建造物、セーヌ河畔のゆったりとした変わらない風景、そのどれも不愉快なことを飛ばすパワーがあるようです。


ひたすら歩いて移動していますが、
こんなゴッホの銅像に巡り会えるのもそのお蔭、
とポジティヴに考えます。
このユニークな像は、
今年がゴッホ没後130年だからかと思っています。

2020年1月6日

メトロの駅名は語る 142

Abbesses
アベス(12号線)

アベスは女子大修道院長という意味で、モンマルトルの丘にあったベネディクト派の女子大修道院に由来します。

ルイ6世(1081-1137)

アデライード・ド・サヴォワ(1100-1154)

モンマルトルに女子大修道院が建築されたのは12世紀の国王ルイ6世の時代で、王妃アデライード・ド・サヴォワの強い希望でした。この地には聖人サン・ドニに捧げる教会があり、1133年にルイ6世が周辺の土地を含めてそれを購入し、1147年、老朽化した教会を取り壊し、ロマネスク様式の新しいサン・ピエール教会を建築させます。

後妻として迎えられたアデライード・ド・サヴォワは、容姿には恵まれなかったのですが、まじめで信仰深い女性でした。夫が建築させたサン・ピエール教会の南に女子大修道院建築を希望し、それが許されると王妃は全身全霊をあげてその維持にあたります。修道院の敷地は13ヘクタールあり、周りには畑が広がり約50人の修道女が野菜やブドウの栽培を行っていました。現在モンマルトルにあるブドウ畑はその名残とされています。

現在もブドウの栽培がおこなわれている
モンマルトルのブドウ畑。

国王夫妻の間に王子7人、王女2人が生まれましたが、遠征で負傷したルイ6世(肥満王)はそれがもとで逝去し、王家の墓サン・ドニ大聖堂に葬られます。

37歳で未亡人になったアデライードは大貴族モンモランシーと再婚し娘を生みます。けれども53 歳になったときに夫の許可を得て、自分が設立させたモンマルトルの女子大修道院に入り、そこで翌年に生涯を閉じます。アデライード・ド・サヴォワはこの女子大修道院の最初の修道長として名を残します。

モンマルトルの女子修道院。

信仰心が深いアデライード・ド・サヴォワが亡くなると、女子大修道院付属礼拝堂であり、同時に教区の教会でもあったサン・ピエール教会に葬られます。現在も健在のその教会は、左岸のサン・ジェルマン・デ・プレ教会についで古い貴重な建物です。革命でアデライード・ド・サヴォワの遺骸は掘り出され不明になってしまいましたが、墓石は今でも残っています。


18席末のサン・ピエール教会。
屋根にテレグラフが付けられましたが、
周囲の牧歌的情緒は失われませんでした。

アデライード・ド・サヴォワの墓石。

女子大修道院は革命最中の1790年に閉じられ姿を消し、最後の女子大修道院長マリー・ルイーズ・ド・モンモランシ―=ラヴァルは捕らえら処刑されました。が、幸いなことにサン・ピエール教会は革命家による破壊からある程度逃れ、その後再建されたとはいえ、建築当時のロマネスク様式の一部は残っています。モンマルトルに暮らしていた画家ユトリロは、素朴で小さいサン・ピエール教会を何回か描いています。華やかさがあるサクレクール寺院の陰に隠れるようにたっているサン・ピエール教会には、このように多くの歴史が刻まれているのです。

2020年1月4日

ギャレット・デ・ロワ

新年にいただくギャレット・デ・ロワは、年々種類が増え選ぶのに迷います。レモンやリンゴ入りもあれば、チョコレートやココナッツ、コニャック入りもある。私が一番好きなのはクラシックなアーモンド入り。一度食べたら止められないとばかりに、毎年少なくとも3回は買いに行く。パイでできていて軽いから体重に危険性はない、と思っています。でもやはりちょっと心配なので、誘惑に負けないように、できるだけギャレットを見ないよう努力しています。

ウインドウに華やかに飾られた魅惑的なギャレット・デ・ロワ。
一口ずつでいいから、全部味わいたい。

中に入っているフェーヴもギャレットの生地と同じように種類豊富。フェーヴは「そら豆」のことで、胎児に似ているのでギャレットの中に入れるようになったのです。

というのは・・・(すでに知ってる方がたくさんいらっしゃると思うけれど)
長い間待ち望んでいた、世の救い主が生まれたことを知った東方の3人の博士が、ベツレヘムに行き、キリスト生誕を祝ったのが1月6日だったとされています。東方の三博士が参拝したこの日はエピファニー(公現祭)と呼ばれ、キリストが公に出現された日なのです。エピファニーは出現という意味です。そのためにフェーヴを入れたお菓子が生まれたのに、今ではギャレットの中にミニの動物やおもちゃなどが入っているのです。宗教と関係ない、新年のお祝いのお菓子になっているのでしょう。

東方の三博士がベツレヘムに向い、
生誕した世の救い主キリストがを参拝。

ギャレット・デ・ロワの「ロワ」が王さまを意味するので、革命の時世にはギャレットを廃止しようとの呼びかけもあったのですが、反対され、結局「平等のギャレット」などと奇妙な名をつけて、通常通りパイのお菓子を作って切り分けて食べていたのです。この「切り分ける」ことに意義があり、皆で同じ食べ物を分かち合うことが大切なのです。そこにキリスト教の教えが込められています。

フェーヴが入ったのに当たった人は、その日一日だけ王さまか王妃さまになって冠を被るというお遊びは他愛ないけれど、どんなフェーヴか、それが誰に当たるかと毎回ドキドキして、結構楽しい。

裕福な人々のエピファニーのお祝い。

庶民たちのエピファニーのお祝い。
フランスでは12月末から1月中旬までギャレット・デ・ロワが売られています。大統領官邸では、優秀な職人賞に選ばれたパティシエたちが作った巨大なギャレットを、大統領夫妻がカットします。でも共和国なので王さま、王妃さまを選ぶフェーヴもなければ冠もありません。一年の初めにフランスの伝統的お菓子を、大統領と国民が分かち合うのは素晴らしい習慣です。

年々オリジナリティーがあるギャレットが増えてきました。そのいくつかをご紹介します。

可愛い動物の顔が描かれているキュートなギャレット。
添え付けの冠もかわいい。
50人用の大きなギャレット。こんなに大きいのを見たのは初めて。
お値段は200ユーロ。

さすが日本人パティシエならではのアイディア。
お抹茶入りです。冠にも気品があります。
円形がほとんどだったのに、四角も登場。
こうなると来年への期待が今から湧きます。

2020年1月2日

パリの犬たち 218

パーフェクトなコーデを見てネ。

ママンのセンスはずば抜けていて、
ワタシとのコーデも半端じゃないの。

たくさんの人が振り返るから、
お散歩が楽しくて仕方ない。
新しい年になったばかりの今日は、太めのストライプ。
シックでしかもコンテンポラリー。
やっぱりお洒落は楽しいワン。

2020年1月1日

明けましておめでとうございます。

新しい年2020年が皆さまにとって、健康に恵まれ、幸せと輝きに満ちた年でありますように ☀


十二支の中で最初に数えられる子年(ネズミ年)となると、いいことがたくさんある年のように思えます。年が変わると周囲の空気さえも変わったように感じ、清々しい気分です。今年もパリの空の下から、できるだけ多くの話題をお届けします。


2020年もどうぞよろしくお願いいたします。