2015年9月24日

ヴィジェ=ルブラン展覧会

絶頂期のマリー・アントワネット


マリー・アントワネットのお気に入りの女流画家、
エリザベット=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン展がグラン・パレで9月23日から開催。

画家を父として生まれた彼女は幼い頃から絵筆を持ち、15歳ですでに肖像画のオーダーがあったというからすごい才能。

ネオクラシックの優しさと気品がほとばしるヴィジェ=ルブランの絵は、王侯貴族にぴったり。

マリー・アントワネットの宿敵
マダム・デュバリー。1781年作
マリー・アントワネットは数多くの肖像画を依頼。今でもヴェルサイユ宮殿やプティ・トリアノンを、華やかに飾っています。

革命のときには、アーティスト特有の感性で危険をいち早く察知。全ての財産をさっさと捨てて、娘と連れ立って国外逃亡したヴィジェ=ルブラン。
それが、暴徒たちがヴェルサイユ宮殿に押し入り、国王一家をパリに連行した10月6日だったのだから、その機敏な決断と行動には驚きさえ覚える。

王妃お抱えの画家であり、多くの貴族の肖像画も手がけていた彼女であるから、国内に残っていたら逮捕、処刑になっていたはず。

ロシアに亡命中に
エカテリーナ2世に依頼されて描いた
女帝の孫のふたりの大皇女。1796年作
鋭い勘を働かせ、賢明に行動し命拾いしたヴィジェ=ルブランは、エカテリーナ二世が治めるロシアをはじめとする君主国でもてはやされ、革命後フランスに戻り、87歳で生涯を閉じます。

ルイ16世の宮廷で活躍し、革命を生き延び、ヨーロッパ諸国で人気をはくし、ナポレオンの時代にジョゼフィーヌからも好意的に迎えられた彼女の人生は、波乱に富んだものだった。

王妃と同年の美しく才能ある画家ヴィジェ=ルブランは、男性が大多数の画家の世界で成功した稀有な女性。

もっと詳しいことを知りたい人は、私の著書「ルーヴル美術館 女たちの肖像、描かれなかったドラマ」
をぜひ読んでくださいね。

革命を逃れて旅する自画像。
1789-1790年作

今回グランパレで観賞できるのは、エルミタージュやメトロポリタンなどから借用した作品も含め約150点。

この規模の回顧展はフランス初。今まで知らなかった貴重な作品が多数あり、学ぶことが多い展覧会です。
マリー・アントワネットの肖像画も多いし、彼女の王女、王子の愛らしい肖像画もある。自画像が結構たくさんあり、この稀有な人生を歩んだ才能ある女流画家が、どのような女性だったか分かるのも興味深い。

グラン・パレ
2016年1月11日まで。