2015年9月29日

シスレー化粧品 ドルナノ伯爵の思い出


ナポレオンの心を捉えた
マリー・ワレフスカ
数年前に社長の座を息子フィリップに譲り、静養していたシスレー化粧品会長、ポーランド出身のドルナノ伯爵が89歳の生涯を閉じられました。
ナポレオンに忠実だった
ドルナノ伯爵。

ドルナノ伯爵と知り合ったのは、彼の先祖マリー・ワレフスカがご縁でした。ナポレオンがポーランドに進出し、その地で出会った美貌と知性が輝くばかりの女性に一目ぼれ。その人がマリー・ワレフスカです。

マリーはナポレオンに男の子を授けますが、ナポレオンは皇帝の座にふさわしい妃を迎える必要性から、彼女から離れ、最初の妃ジョゼフィーヌとも離婚し、ハプスブルク家大皇女を二番目の妃として迎え、マリーは失意のどん底に落とされます。それをじっと見つめていたのがドルナノ伯爵元帥。彼はナポレオンと同じ時期にマリーに心を寄せ、その後ずっと彼女の幸せを静かに願っていたのです。ところが彼女はナポレオンから別離を言い渡される。

その時ドルナノはマリーに心の内を明かし、二人は結婚。男の子が生まれます。その子孫がシスレー化粧品のドルナノ伯爵。長身で、端正な顔。いかにも高位の貴族らしい気品ある振る舞い。パリ市内の広大な住まいに数回ご招待いただき、マリー・ワレフスカの話を
何度もうかがいました。彼女の心臓が安置されているお墓の鍵まで貸してくださり、心行くまでゆっくりとご覧になったらいい、とまで信用して下さった伯爵。本(ナポレオンが選んだ3人の女)が完成したときには、とても喜んでくださった、心やさしく寛大な人柄。いろいろとありがとうございました。
ドルナノ伯爵邸での
パーティーの日に。
左がドルナノ伯爵。
私にとってポーランドはマリー・ワレフスカの国であり、ドルナノ伯爵の祖国。チャーミングな夫人の先祖はポーランド王妃という、お似合いのご夫妻でした。

ドルナノ家はコスメティックの大御所で、ご両親はランコムの創立者。夫妻の間にふたりの息子さんが生まれ、成長したときには親から独立し、オルラーヌを創立。
その後、ご長男が政界に入り大臣を務め、弟がシスレーを世界規模の高級化粧品会社に育てた家系。今後は若い社長の下で、家族が今まで通り団結して企業経営を行なっていくそうです。

安らかな眠りをお祈りいたします。