2015年11月9日

マリー・アントワネット 絵で辿る生涯 20

ヴェルサイユ宮殿の内殿にある図書室でのマリー・アントワネット
王太子妃になったときから、マリー・アントワネットに仕えていたのはランバル公妃でした。当初は女官、その後女官長になった彼女は、ルイ14世の曾孫ランバル公と結婚した高位の貴族夫人でした。ところが結婚一年後、19歳のときに夫に先立たれ未亡人になった気の毒な人。

ランバル公妃
21歳からマリー・アントワネットに仕えるようになったランバル公妃は、温厚な性格で控えめ。どこまでも王家に忠実な彼女は、革命で捕らえられチュイルリー宮殿に暮すようになっても、国王一家の世話を親身にします。一時期、野心の固まりのポリニャック伯爵夫人を寵愛したマリー・アントワネットでしたが、あまりにも欲深い彼女に愛想をつかし、再びランバル公妃を身近に置くようになったのでした。

革命で捕われの身となり、チュイルリー宮殿に幽閉され、そこから国外脱出の計画を立てたとき、ランバル公妃に大きな信頼を抱いていた王妃は、密かに伝え、彼女にも偽のパスポートを作るよう勧めます。
国王一家はベルギーを目指し、その一歩手前のヴァレンヌで逮捕されパリに引き戻されます。ランバル公妃は無事にロンドンに逃れますが、国王一家の身が心配で、危険覚悟でパリに戻り、再びチュイルリー宮殿に暮らすようになったのです。

ルイ16世と家族がチュイルリー宮殿からタンプル塔に移されたとき、彼女も共に連れて行かれますが、その後ラ・フォルス監獄に移され、そこで暴徒たちに殺されます。
42歳でした。
マリー・アントワネットはランバル公妃の優しく愛がこもった友情を、心の糧としていたようです。捕われの身の王妃から彼女に書いた手紙が、それを語っています。