王妃の寝室で、王女誕生の瞬間 |
王妃の出産は、多数の貴族が見守る中で行なわれるのが、フランス宮廷のしきたりでした。そのために、王妃の寝室には重なり合うように多数の貴族が駆けつけていました。そうした貴族たちや医師たちが放つ緊迫した吐息で、寝室は真冬であったにもかかわらず、熱気がこもっていました。
女官に抱かれる マリー・テレーズ王女 |
その中で数時間の陣痛の苦しみの後、初の子供が誕生。生まれたのは王女でした。その喜びを味わうこともなく、王妃は気を失ってしまいます。
あわてたルイ16世が、窓に駆け寄り、背の高い重い窓を大きく開け外の空気を入れ、王妃は我に返ったのでした。
21の礼砲で王女誕生が知らされ、ヴェルサイユでも、パリでも、地方でもお祝い騒ぎが続きました。
マリー・テレーズ・シャルロットと命名された王女は、母に似たブロンドと大きなブルーの瞳の愛らしい顔立ち。
革命で父母、弟とタンプル塔に幽閉されますが、後に釈放され、母の故郷ウィーンへと向います。
母に良く似たブロンドと 大きな瞳の美しい6歳の王女 |
ナポレオンが日の出の勢いで登場し、権力の座に就き、オーストリアとの激戦が続くとイギリスに亡命し、手厚く迎えられます。その後ナポレオン失脚に伴ないフランスに戻り、義理の父がシャルル10世としてフランス国王の座に就き、マリー・テレーズは王太子妃となります。
ところが政変が起きイギリスに再度亡命。その後、プラハに暮らしたこともありますが、最終的にはウィーン郊外のシャトーで静かな余生を送り、72歳の波乱に富んだ生涯を閉じます。