日本建築学会賞をはじめとし、ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞、毎日デザイン賞ほか、多数の受賞をした石上純也さんは、44歳の若き建築家。
今回の個展のテーマは「自由な建築」。
石上さんのプロジェクトの中から約20を選んで、ドローイング、映像、大掛かりで精密な模型による展示は、建築に興味がない人にもわかりやすい。
ヴェルニサージュの日に、石上さん自身の説明を受けながら鑑賞。
どの建築にも透明感、開放感があり、何物にもおかされていないピュアな印象を受けました。
心身が浄化されたような清涼感は、忘れがたい。
それを味わうために、もう一度行こうと思う。
建築界のホープ、石上純也さん。プロジェクトの模型を一点ずつ丁寧に説明。 デリケートで、ピュアで、自然体で爽やかなお人柄が伺えます。 |
水の真ん中を散歩する印象を与える 長さが1キロメートルもある中国のプロジェクト。 柱は細く、ガラスに囲まれていて、 水の上を歩いている印象を持つはず。 ゆったりと散策したり、レストランもあるので、 食事を楽しみながら景色を楽しめます。 |
完成予想図が模型の隣にあり、 実現したときの景観の素晴らしさがわかります。 |
雲の形の壁が特徴の保育園。 コンクリートの様々なフォルムの雲の上に、 子供たちが乗ることもできます。 実際には雲に乗ることはできないけれど、ここは別。 子供たちの夢が広がり、愛らしい喜びの歓声が聞こえるよう。 |
石上さん直筆の説明が、その近くの壁にあります。 すべての模型に石上さんの日本語の説明があるので、 日本人にとって非常にわかりやすい。 |
デンマークの水の中の瞑想や祈りの場で、タイトルは「平和の家」。 雲の形のこの平和の家には、小さいボートに乗って行けます。 街を離れて、水に囲まれた別世界に身を置ける画期的な発想。 完成したらぜひ行ってみたい。 今回拝見した中で一番気に入っています。 |
中国の森の幼稚園。 緑の中で子供たちが動きまわる姿を想像し、心が癒されそう。 きっと、自然を尊ぶ精神が育つことでしょう。 大切な教えが込められているように思えます。 |
日本人から依頼された、レストランと住居。 周囲はガラスで囲まれ、中に庭があり、 レストランと住まいが区切られています。 |
地下にもたくさんの模型が展示されています。 その一つのロシアのミュゼアムの前で、石上さんの説明が続きます。 歴史ある建造物のリノベーションの裏話が、とくに興味深い内容でした。 |
最後は財団最上階のレストランで、全員揃ってランチ。 シャンパーニュ、ワイン、美味なお料理、コーヒーとフルコース。 好天に恵まれ、ベランダからの眺めが最高でした。 |
新たな時代にふさわしい、新感覚の建築家石上純也さん。
従来の建築に関する観念を打ち破る、自由を尊ぶ石上さんの哲学を感じることができる、たいへん貴重な個展です。
La Fondation Cartier
261 boulevard Raspail
75014 Paris
3月30日~6月10日