2018年3月30日

石上純也展、カルティエ現代美術財団

建築家のホープと呼ばれ、世界の注目を集めている石上純也さんの展覧会を、カルティエ現代美術財団で開催中。

日本建築学会賞をはじめとし、ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞、毎日デザイン賞ほか、多数の受賞をした石上純也さんは、44歳の若き建築家。

今回の個展のテーマは「自由な建築」。
石上さんのプロジェクトの中から約20を選んで、ドローイング、映像、大掛かりで精密な模型による展示は、建築に興味がない人にもわかりやすい。

ヴェルニサージュの日に、石上さん自身の説明を受けながら鑑賞。
どの建築にも透明感、開放感があり、何物にもおかされていないピュアな印象を受けました。

心身が浄化されたような清涼感は、忘れがたい。
それを味わうために、もう一度行こうと思う。


建築界のホープ、石上純也さん。プロジェクトの模型を一点ずつ丁寧に説明。
デリケートで、ピュアで、自然体で爽やかなお人柄が伺えます。


水の真ん中を散歩する印象を与える
長さが1キロメートルもある中国のプロジェクト。

柱は細く、ガラスに囲まれていて、
水の上を歩いている印象を持つはず。

ゆったりと散策したり、レストランもあるので、
食事を楽しみながら景色を楽しめます。




完成予想図が模型の隣にあり、
実現したときの景観の素晴らしさがわかります。


雲の形の壁が特徴の保育園。
コンクリートの様々なフォルムの雲の上に、
子供たちが乗ることもできます。

実際には雲に乗ることはできないけれど、ここは別。
子供たちの夢が広がり、愛らしい喜びの歓声が聞こえるよう。


石上さん直筆の説明が、その近くの壁にあります。

すべての模型に石上さんの日本語の説明があるので、
日本人にとって非常にわかりやすい。


デンマークの水の中の瞑想や祈りの場で、タイトルは「平和の家」。

雲の形のこの平和の家には、小さいボートに乗って行けます。
街を離れて、水に囲まれた別世界に身を置ける画期的な発想。

完成したらぜひ行ってみたい。
今回拝見した中で一番気に入っています。


中国の森の幼稚園。
緑の中で子供たちが動きまわる姿を想像し、心が癒されそう。

きっと、自然を尊ぶ精神が育つことでしょう。
大切な教えが込められているように思えます。

日本人から依頼された、レストランと住居。
周囲はガラスで囲まれ、中に庭があり、
レストランと住まいが区切られています。

地下にもたくさんの模型が展示されています。
その一つのロシアのミュゼアムの前で、石上さんの説明が続きます。

歴史ある建造物のリノベーションの裏話が、とくに興味深い内容でした。

最後は財団最上階のレストランで、全員揃ってランチ。
シャンパーニュ、ワイン、美味なお料理、コーヒーとフルコース。

好天に恵まれ、ベランダからの眺めが最高でした。

新たな時代にふさわしい、新感覚の建築家石上純也さん。
従来の建築に関する観念を打ち破る、自由を尊ぶ石上さんの哲学を感じることができる、たいへん貴重な個展です。

La Fondation Cartier
261 boulevard Raspail
75014 Paris

3月30日~6月10日