2017年1月10日

メトロの駅名は語る 20

Havre-Caumartin
アーヴル-コマルタン (3,9号線)

オスマン通りに面したデパート、オ・プランタンに行く人が主に利用するこの駅は、
二つの名前からなっています。「アーヴル」と「コマルタン」です。 
「アーヴルはノルマンディー地方の港ル・アーヴルのことで、「コマルタンは旧体制の有力な貴族の名前です。

1847年、
ルアンからル・アーヴルまでの鉄道開設を祝うセレモニーが行われました。
パリのサン・ラザール駅からノルマンディーのルアンまでは、19世紀初頭にすでに鉄道で行くことが出来ました。

1847年のル・アーヴルの駅。
ルアンからその先にある港ル・アーヴルまで鉄道をのばせば、貨物の輸送も速くおこなえるし、パリ市民がル・アーヴルまで気軽に行って休暇を楽しむことも出来る。
この案が実現されたのは1847年。これによってサン・ラザールからル・アーヴルまでの228キロメートルの長い鉄道が生まれました。

これにちなんでサン・ラザール駅前の道路がリュー・デュ・アーヴル(アーヴル通り)と名づけられ、その近くのメトロなのでアーヴルの名が選ばれたのです。

それに平行する道路は、コマルタンという貴族の命令で1780年に造られたコマルタン通りだったために、アーヴルと一緒になってこの駅名が生まれました。

邸宅が多かったコマルタン通り。
自分の名を冠した道路を造らせたコマルタンは、侯爵と伯爵の称号を持ち、革命前にパリ市長を務めたこともある有力者でした。コマルタン通りは邸宅がいくつも並ぶ瀟洒な通りで、ミラボーや文豪スタンダールが暮らしていたこともありました。

今でも良き時代の面影が随所に残っています。
現在はさまざまなブティックが並び庶民的な雰囲気がある道路ですが、良き時代の建物の装飾がホテルの外壁などに残っています。