1778年の マリー・アントワネット |
その妃マリー・アントワネットは、ついにフランス王妃になりました。
シャルトル公爵夫人のお気に入りのベルタンを、彼女がマリー・アントワネットに紹介したのは、その年の6月か7月頃と推定されています。
シャルトル公爵夫人を筆頭に、貴族夫人が、皆、今までと違うあかぬけた服装をしているのを、マリー・アントワネットも目にとめていたはず。
そして内心、一体誰が作ったのだろうと
思っていたはず。
それまで彼女は、長年働いていた宮廷デザイナーの服を、
他の王妃と同じようにそのまま着ていたのです。
ベルタンの服との差が大きいことは、ひと目で分かる。自分ももっと自由におしゃれをしたい、と思っても無理ないこと。
しかも彼女は若く、しかも王妃。それに加えて誰よりも予算もある。
王妃ともあろう人は誰よりも美しくあるべきだ、輝く存在であるべきだ、とマリー・アントワネットが思ったと容易に想像できます。
もともと舞踏会が大好きなマリー・アントワネットは、
王妃になると自ら率先して頻繁に開催。
そのたびに、王妃はベルタンにアイディアを求め、
斬新なデザインのドレスで身を包み、
ますます美しさに拍車がかかりました。
ヴェルサイユ宮殿の 鏡の回廊 |
貴族夫人たちは感嘆し、賞賛の眼差しで見つめる。
フランス駐在の外国大使は、王妃の美しさを称える報告を
矢継ぎ早に本国に送る。
今やマリー・アントワネットは、
どの国のどの王妃よりも美麗になりました。
それは彼女が望んでいたことに違いありません。
王妃お抱えのデザイナーとなったベルタンは、
「モード大使」と呼ばれ、
王妃の内殿には入れる数少ない人となったのです。
続く・・・