2016年10月6日

メトロの駅名は語る 3

George V 
ジョルジュ・サンク (1号線)

イギリス国王ジョージ5世とメアリー・オブ・テック王妃。
1913年。
凱旋門に近いシャンゼリゼ大通りに面した地にあるジョルジュ・サンク駅は、イギリス国王のジョージ5世という意味。メトロが開通した1900年からしばらくの間は、アルマ駅と呼ばれていました。

1918年、シャンゼリゼを馬車で通るジョージ5世。
アルマ広場とシャンゼリゼ大通りをつなぐアルマ通りが、1918年7月14日、パリ祭に出席したジョージ5世を称えるためにジョルジュ・サンク通りに変更されました。それに伴い、1920年5月27日に近くのメトロの駅名もジョルジュ・サンク駅と改名。

ジョージ5世はフランスで大変人気があり、妃メアリー・オブ・テックと1914年にパリを公式訪問したときには、シャンゼリゼ大通りで20万人もの群集が出迎えたほどでした。

3人のイギリス国王のポートレート。
左からジョージ5世、ジョージ6世、エドワード8世。
1918年には二人の王子を伴ってパリを訪問。
プリンス・オブ・ウェールズの称号を持つ年長の王子エドワードは、父王の希望で1928年にパリに滞在し、フランスとの友好を結びます。

その王子を迎えるために建築されたのが、ジョルジュ・サンク通りに面したホテル。メトロからわずかな距離です。 プリンス・オブ・ウェールズはフランス語で「プランス・ド・ガル」。それがそのままホテル名になっています。近年にリニューアルされ好評を得ています。

エドワードは父の逝去に伴い国王になりエドワード8世を名乗りますが、アメリカ女性シンプソン夫人への愛を貫くために退位し、ウインザー公となりパリ西方のブローニュの森の館に暮らし、そこで生涯を閉じます。歴史上名高い「王冠をかけた恋」の主人公です。

ジョージ5世のふたりの孫。
少女時代のエリザベス王女と妹のマーガレット王女。
左は祖母のジョージ5世妃メアリー・オブ・テック。

兄の退位によって弟がジョージ6世となり、国王亡き後長女がエリザベス2世女王として即位します。女王はジョージ5世の孫なのです。

イギリス国王の名を冠するジョルジュ・サンク駅。その近くのホテル、プランス・ド・ガル。セーヌ川に向かってのびるジョルジュ・サンク通り。この界隈一帯がイギリスに縁が深い地域です。