2015年12月18日

マリー・アントワネット 絵で辿る生涯 38

ヴィジェ=ルブランのためにポーズした
最後の肖像画。
日に日に人々の反感が王妃に向い、彼女もそれをひしひしと感じるようになります。
反感は宮廷内にもありました。

その筆頭は、王ルイ15世の3人の老王女。
愛妾デュ・バリー夫人に自ら声をかけ、自分たちを裏切ったマリー・アントワネットに、
それ以後悪意を抱くようになっていたのです。
枢機卿を迎えるルイ16世と
マリー・アントワネット。
後方に子供たちと一緒の
王妃の絵が見えます。
3人の老王女は、同じ館に暮らし、団結してマリー・アントワネットの悪口をいいふらしていたのです。
そこに王妃から免職された貴族や、取り巻きに入れてもらえない嫉妬に燃える貴族夫人たちが加わり、王妃に関する悪評を語り合い、広く世間に知れ渡るようにさえしたのです。

王妃を特に毛嫌いしていたのは、ブルボン家の分家にあたるオルレアン公ルイ・フィリップ。野心家の彼は、王妃の権力と誇りに満ちた態度にガマンできず、「首飾り事件」をきっかけに、あからさまに攻撃を強くします。
7月14日のバスティーユ監獄襲撃隊は、パレ・ロワイヤルの彼の豪華な館から出発したのです。

王妃の評判が下降線を辿る一方だったのは、内部の人の反感が強く、それが輪をかけて世に吹聴されたことも影響していたのです。