2015年12月24日

マリー・アントワネット 絵で辿る生涯 41

バルコニーで王妃にうやうやしく挨拶する
ラファイエット国民軍司令官。
1789年10月6日朝。
王妃は女官に突然起こされます。
パリ市民を目の前にした
王妃と子供たち。

前日、雨が降りしきる中を、23キロも歩き続けて宮殿に到着した群集は、怒りと空腹、寒さ、疲れで暴徒と化し、斧や槍を振りかざしながら宮殿に入り込み、衛兵を殺し王妃の寝室へと向ったのです。

衛兵の断末魔の叫び声を耳にした女官が、迫った危険を感じ、王妃を起こし着替えを手伝い、ベッドの左後にある隠しドアを開けます。

細い通路を転がるようにして通り国王の寝室に逃げ込みます。幸いなことに王子も王女も無事に父の部屋に逃れてきます。

家族揃って無事だったことを喜んでいる時間はありませんでした。差し迫った危険から身を守るために意見が交換されます。そうしている間にも、暴徒たちの叫び声は続いていました。

パリに到着した国王一家。

その内彼らは国王がバルコニーに姿を出すことを要求します。
王がそれに従って寝室のバルコニーに立つと「国王バンザイ」の合唱が響きました。
ホッとしたのもつかの間。今度は王妃に同じことを要求。

マリー・アントワネットは恐怖で引きつった顔になります。彼女はしっていたのです。自分が国民から嫌われていることを。しばらくためらっていた王妃でしたが、意を決して王子と王女の手を引きながらバルコニーに出ます。
その瞬間、群集の騒ぎが静まりました。そのとき、両者の間の沈黙に危険を感じたラファイエット国民軍司令官が進み出て、王妃にうやうやしく挨拶します。
それを見た群集は「王妃バンザイ」を唱えたのです。

その後群集の希望でパリに行くことを約束し、国王一家は馬車に乗ります。
それが、ヴェルサイユ宮殿との永遠の別れになるのです。
チュイルリー宮殿に入る一家。