ディオール本店のインテリアを 再現した舞台 |
招待状のコントロールは何度もあり、入り口から伸びる淡いグレーのカーペットを通りながら、中庭に作られた大きなテントの仮説会場に入ると、ビシッとした服装の礼儀正しい男性が席まで案内。
会場はいつもの通り、壁も床も黒一色。
そして舞台は、ディオール本店のインテリアを再現した、シックなグレーを貴重とした装飾。豪華なシャンデリアは、華やいだ雰囲気を出すというより、私にはかえってもの悲しさを感じさせました。
会場のロダン美術館前の車道も 歩道も報道陣でいっぱい |
ショーは30分遅れで始まりました。それもいつもと同じ。
と、突然、ディオールのトレダノ社長の姿が舞台の照明の中に浮かびました。
これは異例なことですが、誰もが事情を知っているので、全身を耳にして聞き入ります。
数枚に及ぶ声明を読み上げる間、会場は静まったまま。
・・・才能あるデザイナーと、残念なことに別れなければならない。ディオールは1947年の創立以来、常に人への
敬意を重んじてきた。
それなのに、このたびの彼の発言は許しがたい。
我々は全員非常に大きな悲しみにくれている・・・
声明を発表するトレダノ社長 |
私の記憶では、ガリアーノという名を一度も発することがなかったと思います。そこに、トレダノ社長の、やりきれない思いが込められていたように感じられました。
ショーでは63点という多くの作品を発表。
軽快な音楽もいつもと同じ。
マヌカンの見事な着こなしもいつもと同じ。
ただし、いつもはフラッシュを浴びるセレブリティは誰もいなかったし、最後に登場すべきガリアーノの姿はもちろんなく、その代わりにアトリエの人が勢ぞろい。
フィナーレはガリアーノにかわり アトリエの人が登場 |
その寂しさはあまりにも強く、熱いものがこみ上げてくるのを、どうしようもありませんでした。
ガリアーノはディオール社から離れました。けれども彼のデザイナーとしての活躍は、自分の名のメゾン、ジョン・ガリアーノで続けていけるのです。
ガリアーノによる 最後のデフィレ |