2011年3月28日

「イヴ・サンローランへの手紙」翻訳本のお知らせ

サンローランの真の姿が書かれている本です。

ファッション界にいくつもの改革を起こした偉大なデザイナー、イヴ・サンローランが亡くなって今年で3年目。
生前から「生きた伝説の人」と呼ばれていたサンローラン。
彼なしでは、今日見られるようなファッションは、生まれていなかったと言えるほど重要な人。

パンタロンを女性が気軽に身に付けるようになったのは、メンズの要素を女性の服に取り入れた彼のお蔭だし、オートクチュールのデザイナーでありながら、プレタポルテを手がけ、身近な価格で誰もがおしゃれを楽しめるようにしたのも、サンローラン。

女性たちは彼の服装改革によって、自信を持つようになり、それに伴い歩き方や態度も変わり、積極的に人生を生きるようにさえなったのです。
確かに服装は、それを身に付ける人の精神に大きな影響を与える。

偉大な人ではあるが、あるいは、そうであったからこそ、イヴ・サンローランの本当の姿はなかなかつかめないでいました。

それが今、明らかになったのです。
サンローランの50年に及ぶパートナー、ピエール・ベルジェが「イヴへの手紙」と題する本を出版。
そこに、華やかなファッション界に君臨していたサンローランの、真の姿が、苦悩し続けた姿が、書かれているのです。共に暮らし、共にファッション界をリードしていたベルジェしか書けなかった貴重な真実が、この一冊に凝縮されています。

もともと作家を志していたベルジェの文体は、心打つほど詩情にあふれ、それでいて、事実を明らかにしている。
実際に彼はこの本で、フランス文学賞ヴォドヴィルを受賞。

この本がフランスで発売されたのは、去年のこと。発売日に購入し一気に読んだ私は、ベルジェにお会いしました。

彼の本にいかに感動したかということを伝えると共に、日本語の翻訳を手がけたいことを話しました。
サンローランとベルジェを知ることが出来た私としては、ぜひ翻訳を自分でしたかったためです。

ベルジェの賛同を得てからというもの、連日お2人の写真を前に翻訳をし続け、このたび出版されることになりました。

翻訳にあたりベルジェの文体を可能な限り尊重し、イヴ・サンローランが、そしてピエール・ベルジェが、いかなる人であるかを伝えられるよう、心を配りました。

サンローランが私たちに残してくれたことは、大きい。
その陰にどのような人生があったのか、一人でも多くの人に知っていただけたら幸いです。

「イヴ・サンローランへの手紙」
中央公論新社 3月30日発売