2014年10月1日

北斎展 グラン・パレで開催

北斎展を開催しているグラン・パレ

フランスの画家たち、
特に印象派に大きな影響を与えた葛飾北斎の大規模な展覧会が、グラン・パレで開催され話題になっています。

展示されているのは浮世絵や版画、肉質の作品など約700点。日本でも未公開の作品もある、過去最大の展覧会。

晩年の自画像。作品も迫力あるけれど、
本人も迫力満点。生涯で93回も
引っ越しした北斎。何もかも破格。

北斎が注目を浴びるようになったのは、フランスの銅版画家フェリックス・ブラックモンが、日本から送られてきた陶器の梱包に使用されていた「北斎漫画」を見たことに始まったそうです。1856年のことでした。

当時日本では浮世絵は評価されていなかったようですが、ヨーロッパの絵画と異なる手法や題材は刺激的で、ブラックモンによって注目された北斎の作品は、その後ゴッホや、ゴーギャン、ロートレック、ドガ、モネなどに大きな影響を及ぼします。

風景や魚、鳥、日常生活が驚くほど精密に描写されていて、
特にゴッホは日本人の観察力、感性に感銘を受けます。
「北斎漫画」を自分で操作しながら
ページをめくれる装置が素晴らしい。
一枚の葉、一輪の花を哲学者のように観察し、自然と同化していると絶賛しています。
モネも多くの浮世絵をコレクションし、終焉の地となったジヴェルニーの館の壁を多くの浮世絵で飾っていたほどでした。彼は連作を手がけていますが、それも
北斎の連作の影響だと見られています。

このようにフランスで最初に評価された北斎。最初の「北斎漫画」が描かれて今年は200年記念の年。それをお祝いしての前代未聞の大規模な展覧会です。
フランス人が圧倒的に多い。

グラン・パレを訪問する人が、もっとも興味をもっているのは「富獄36景」「北斎漫画」「靖国瀧廻り」。
これほど緻密な観察力と表現力は、やはり日本人の格別な感性のお陰かも。日本人であって良かったと強い誇りを感じる北斎展です。

90歳近くまで生きた北斎は、超人と表現しないではいられない。しかも、18~19世紀の時代です。創造への意欲がそうさせたのかも知れない。どの作品にも圧倒的な迫力があり、「凄い凄い」と繰り返すばかり。北斎の力強い意志の響きがどの作品からも感じられて、細胞のひとつひとつが騒いでいるようです。
この感動を大切にしていたい。

もちろん展示作品を全部収録した分厚いカタログを買ったし、北斎の作品のひとつをプリントしたシルクのスカーフも買いました。まだ数回行きたい素晴らしい北斎展。

2014年10月1日~11月20日、2014年12月1日~2015年1月18日