2019年10月30日

オペラ座350周年記念、オルセ―美術館「オペラ座のドガ」展

2019年はいろいろな記念の年で、それにちなんだセレモニーや催しものが多いのですが、オペラ座350周年記念を祝うオルセー美術館の「オペラ座のドガ」展もそのひとつ。オペラ座の踊り子たちを様々な角度から描いたドガの作品を集めた展覧会です。

イタリアで発祥したバレエは、アンリ2世の妃になったイタリアの大富豪カトリーヌ・ド・メディシスによってフランスに紹介され、時と共にフランス宮廷でもてはやされるようになります。

1653年、「夜のバレエ」で太陽の役を演じた
15歳のルイ14世。

この役から国王は
太陽王と呼ばれるようになったという説もあります。

「夜のバレエ」の舞台装置の一場面。
それが大きな飛躍を遂げたのはルイ14世がこよなくバレエを好み、自ら踊っていただけでなく、1661年に王立舞踊アカデミーを設立したためで、バレエは華麗な花を咲かせます。1669年には王立音楽舞踊アカデミーが生まれ、それがオペラ座の起源となり今年350周年となったのです。オペラ座の重厚な緞帳の上の方に「ANNO 1669」とラテン語で年号が書かれ、太陽王ルイ14世の黄金色に輝くエンブレムがその中央にあります。1670年になるとルイ14世は年齢的にバレエを踊れなくなり、バレエは宮廷から劇場に移りプロの踊り子の時代を迎えたのです。

オペラ座の踊り子たちの姿はエドガー・ドガによって数多く描かれていますが、裕福な銀行家に生まれたドガはバレエが好きで、オペラ座の定期会員になっていたほど。そのために、通常入れない楽屋やレッスン室などに出入りを許されていたドガは、舞台では見られない日常的な姿を描くことが出来たのです。

ドガが踊り子たちの絵を描き始めた、
ル・ペルティエ通りのオペラ座。
ドガが当初描いていたのはル・ペルティエ通りにあったオペラ座で、それが1873年に火事で消え、その後現在見られるオペラ・ガルニエが建築され1875年にオープン。当然ドガはその新しいオペラ・ガルニエ座にも通い、踊り子たちを描き続けていました。

オルセー美術館は19世紀以降の親しみやすい作品ばかりなので、訪問者が多いのですが、今は「オペラ座のドガ」展もあり長時間並ぶ覚悟が必要。本格的寒さ到来の前にドガの名作を鑑賞してきました。

平日でもすごい行列。
代表作「エトワール」はやはり大人気。このパステル画は1878年に描かれたので、新しいオペラ・ガルニエで公演されるようになって間もない作品です。美しい衣装をまとったエトワールが踊る姿はエレガントで引き込まれます。彼女の顔をじっくり見ていると、恍惚とした表情がうかがえます。それは、多分、ここに達するまでの努力の結晶を観客に見せる喜びと同時に、自分への満足感もあるように私には思えます。

「エトワール」
レッスンの成果を舞台で披露する喜びは計り知れないほど大きいに違いない。そこに至るまでの厳しいレッスンや、疲れ果てた姿、息抜きの場面など、ドガは舞台裏を数多く描いていて、踊り子たちの日々の様子が分かるのは意義あることです。舞台の上で超人的な、あるいは幻想的な踊りを見せる彼女たちも、生身の人間であることが伝わってきます。

「踊りのレッスン」リハーサル・ルーム。
「リハーサル・ルームの踊り子」
「腰かけて足のマッサージをする踊り子」
「バーの踊り子」
「踊り子たち」
「フォアイエでのリハーサル」

フォアイエでのリハーサルの絵は1873年から描き始めたので、火事で消滅したル・ぺルティエ通りのオペラ座で描いたものです。いまでは見られない当時のオペラ座の一部分が分かるので、そういう意味でも貴重です。

デッサン帳もあるしオペラ・ガルニエの大きな模型もあり、見応えがある展覧会です。

2019年10月27日

秋のウィンドウ

今年のパリの秋のウィンドウは、なぜか生き物が多い。いろいろな出来事があったので、心を慰めるためでしょうか。

子供服のブティックのモフモフのぬいぐるみ。
私も欲しい。
超高級時計店のハリネズミ。
じっくりご覧ください。
顔にも体にも無数のダイヤモンドを付けているのです。
もちろん本物のダイヤモンド。

大きな巣の中でご機嫌な小鳥。
なかなかのお洒落さん。
チョコレートの葉の上で遊ぶ
チョコレートのカニとカエル。
サロン・ド・ショコラの季節です。

2019年10月25日

パリの犬たち 213

とってもガッカリ

キャーッ、ワタシ好みの気品あるワンちゃんがいる💓💓💓
待って、待って・・・お待ちになって💦


必死の叫び声をあげたけれど、
聞こえなかったのか遠くに行ってしまった。
ガッカリしてお散歩を続ける気にもならないワ~~ン。

2019年10月22日

おすすめのブラスリー

おいしくて、サーヴィスが早く、手ごろなお値段。花や植木がいたる所にあり、壁には20世紀初期の絵が飾られている。3階建ての中央は吹き抜けでスッキリしているし、ガラス張りの天井からパリの空が見える、このようにすべてが揃っているパリらしいアンビアンス満点のブラスリー。友人のフランス人ジャーナリストからのお誘いで初めて行き、すっかり気に入りました。

3階建てで植物が至る所にあり、
とても居心地がいい。
天井がガラス張りでそこから空が見え、
解放感があります。
床一面に建築当時のカラフルなモザイクがあり、
長い歴史が伝わります。

1921年に最初のブラスリーがオープンし、その後何度かオーナーの交代劇はあったものの、しっかりした伝統的なフレンチを気軽に楽しめるブラスリー精神が引き継がれています。3階建てというからには、それだけ多くの人が利用する。そのために何もかもスピーディ。かつてこの界隈には大きな工場があり、そこで働く人々のために安く、おいしく、ヴォリュームがあるお料理を素早く提供するポリシーが生まれたそう。

ヴォリューム満点の鴨料理。
食べやすいように細く切ったこってりしたお味の鴨を、
クレープで包んであります。
デザートはさっぱりしたレモンタルト。
中に入るとすぐに、元気のいいボンジュールの声と笑顔に迎えられます。右手に列が見えるのでそこに並んで予約した友人の名前を告げる。小さな紙に番号を書いて2階ですと係りの人が言う。階段を上って2階に着くとボーイさんが番号を見て席に案内してくれる。友人も同じころ到着し早速オーダー。5分ほどでお料理が出て、食べ終わるころにボーイさんが顔を出しデザート注文。長々とおしゃべりをしてコーヒーを飲み終えたのは約1時間後。誰もが一切無駄のないようにきびきびと働き、しかも感じがいいブラスリー。同じ通りの両サイドには小さいお店がいっぱいで活気があり楽しい。

Le Café du Commerce
51 rue du commerce
75015 Paris
tel 01 45 75 03 27

2019年10月20日

メトロの駅名は語る 137

Place des fêtes 
プラス・デ・フェット(11号線)

祭典が行われていた広場だったために「祭典の広場」と付けられた駅名。フェットはフランス語で祭典という意味。

19 世紀の祭典の広場。
パリの北郊外にあったベルヴィル村では18世紀ころから頻繁に広場で祭典をもよおしていて、1830年代には仮装パーティーが特に人気がありました。1859年にベルヴィルは首都の仲間入りをし「祭典の広場」は近代化され拡大され、週3回マルシェが開かれ賑わいを見せる地となりました。

1911に開通したメトロの入り口はアール・ヌーヴォーでした。

1935年にアール・デコに改造。
周囲の近代的な建造物とのきれいな調和が生まれました。
現在この地域にはコンテンポラリーなアパルトマンが立ち並んでいて、新しいパリの顔を見せています。

2019年10月19日

パリの犬たち 212

またボクたち、ほら211に登場した3兄弟だよ。

この間はメトロに乗るのでバッグに入っていたけれど、
今日はご覧の通り、歩いてる姿を披露するネ。
ママンの進み具合をじっと見ながら、
乱れることなく歩くの。これでも結構気をつかっているんだワン。
あ、突然ママンがジュエリーのブティック前で立ち止まった。
なので、こっちもかわいい子が来ないかと期待しながら
キョロキョロ、キョロキョロ。

2019年10月17日

マリー・アントワネット展

シテ島のコンシエルジュリーで「マリー・アントワネット、イメージの変貌」展が、王妃処刑の日である10月16日から開催されています。

2020年1月26日まで続くこの展覧会は、ヴェルサイユ宮殿、国立図書館、フランス革命博物館、国立古文書館、カルナヴァレ博物館所蔵の品々の他、今まで公開されたことがない個人秘蔵の貴重な資料やオブジェもあり、感慨もひとしおです。マリー・アントワネットを描いた肖像画はもちろんのこと、靴、食器、監獄で被っていた帽子、裁判に臨むときに付けていたベルトの一部、手紙なども興味深いし、王妃を描いたソフィア・コッポラの映画の抜粋や、インスピレーションを受けてクリエイトしたデザイナー、ガリアーノのドレス、思い切った風刺画など、約200点に及ぶ展示品は多岐にわたっています。展示会場がマリー・アントワネットが最後の日々を送っていたコンシエルジュリーであるがために、格別な思いを抱かないではいられません。

捕らわれていたマリー・アントワネットが
使用していたシュミーズ。
タンプル塔で被っていた帽子のようなヘアバンド。
右下は裁判の際に付けていたベルトの一部。
コンシエルジュリーの王妃の独房の錠前。
王妃お気に入りの別邸プティ・トリアノンで使用していた、
暖炉用衝立。王妃好みの植物のモチーフ。
日本の焼き物のモチーフと色合いを好み、
そこからインスピレーションを得てクリエイトしたセーヴル焼き。
左は王子、王女の養育係りトゥルゼル夫人お守り。
十字架の形で国王一家のそれぞれの髪の毛が小さいケースに入っています。

右は王妃が処刑の日にはいていた靴で、
それを高位の貴族が買い取り秘宝にしていました。

手を縛られた王妃の素焼きの像。
18世紀の王妃に関する書物。


マリー・アントワネット特有の大掛かりなヘアスタイルを紙で実現。
ジョン・ガリアーノによるマリー・アントワネットへのオマージュの作品。

クリスチャン・ルブタンが王妃からインスピレーションを得て、
前代未聞の靴をクリエイト。

とても充実した内容で、またすぐに行きたいほど。

2019年10月15日

草間彌生さんのカボチャがヴァンドーム広場に

ヴァンドーム広場もチュイルリー公園と同じようにFIAC の屋外展示場になっています。そこに今年は日本が世界に誇る破格のコンテンポラリー・アーティスト、草間彌生さんの代表的作品の黄色いカボチャが展示されています。

無数のドットのカボチャを目にとめた途端、思わず歓声をあげてしまったほど大感激。女性の感性とパワーが漲っていて、たくさんのいい気をいただいたように元気になりました。畑で育っているカボチャが少女時代の草間さんにパワーと慰めを与えていて、このモチーフの作品を創作するようになったのは1980年初期からだそうですが、今では草間さんの代名詞的存在。

パリのど真ん中で草間彌生さんのカボチャに会えるなどと思ってもいなかっただけに感激も大きかったのです。これほど貴重な作品ですから、きっと数日間の展示でしょう。その機会に偶然に巡り会えたのは、とてもラッキー。


草間彌生さんの黄色いカボチャがヴァンドーム広場に。
作品の足元にはこのような表示があります。
カボチャに合わせて黒と黄色です。
ナポレオンが頂上に君臨する青銅の円柱と。
不思議なハーモニ―をかもしだしているように思えます。
この日の空の雲の模様も、カボチャに合わせているみたい。
これほど大きいとは驚きです。
背が高く安定感があるカボチャから、生命力がしっかり伝わってきます。

2019年10月14日

アート輝くチュイルリー公園

国際コンテンポラリーアートフェア「FIAC」のグラン・パレでの開催は10月17日からですが、屋外展示場のひとつになっているチュイルリー公園には、すでに多くの作品が展示されています。紅葉が始まった木々や、咲き乱れる色彩豊かな花々の間から見える彫刻は、さすが選ばれた秀作ばかりでどれも個性的で興味深い。感性が刺激され、心が躍ります。気に入ったいくつかの作品をご紹介します。

古代エジプト王者の棺を彷彿させるインパクトある作品。

夢物語が浮かびそうなエレガントな彫刻。
いい未来を占ってくれそう。
エコロジーを語っているのでしょうか、整然と並ぶシャベルたち。
「何しているの?」と問いかけている動物の姿がかわいい。

大きなシャンピニオン。右下で本物のハトさんがうっとり見とれています。

池の中も展示会場。水着姿の3人の美女が遠くからも視線を捉えます。
「これも作品なの?」と、
トランクを山積みした半分に切った車の前で女性たちがおしゃべり。
いろいろなアイディアがあるものです。

蝶々が主役のような奇妙な世界。

誰もがお散歩を楽しみながら無料でアートを鑑賞できるこの企画は、本当に素晴らしい。