2014年2月19日

「蚕-皇室のご養蚕と古代裂,日仏絹の交流」展 パリ日本文化会館で開催

パリ日本文化会館における
展覧会

明治時代から日本の重要な輸出品だった生糸。
蚕の繭から生まれる美しい光沢を放つ絹糸には、格別な気品あり、その質感には心の奥底に平和を届けるかのような優しさがある。

日本の主要な産業ともいえる絹糸の生産を奨励するために、明治以来の歴代の皇后陛下がご養蚕なさり、それが現在も引き継がれています。時代の変貌がいかなるものであっても、伝統文化を尊び敬う精神に、日本人として感動しないではいられません。

今回の展覧会で初めて知ったことは、日本とフランスの間に絹糸にまつわる
大切な交流があったことです。

展覧会開催のお言葉を述べられた
鈴木庸一大使と隆子夫人。
ヴェルニサージュの会場で。
フランスでも絹糸の生産が盛んに行なわれていましたが、19世紀に蚕が寄生虫が原因の微粒子病にかかり、大きなダメージを受け、皇帝ナポレオン三世の要望で日本から蚕を多数送り、生産を続行することができたのです。

また、日本初の富岡製糸場はフランス人技術者ポール・ブリュナにより建築されただけでなく、機械もフランス製だったし技術もフランスから学んだとのこと。

このように日仏が絹を通して深い関係にあることを学べたことは、大変有意義なことです。外国に長く暮せば暮すほど、日本の文化、伝統の奥義をしることの重要性を感じます。

美智子皇后陛下が心を込めてご養蚕なさっている、純国産の希少な「小石丸」から生まれた絹糸は、正倉院宝物の8世紀の古代裂の復元や、鎌倉時代の絵巻の修理にも使用されたそうです。

そうした貴重な宝物をはじめとし、精密な刺繡を施した天皇陛下「御着袴の儀」のお召し物、皇后陛下のお召し物やバッグなど、日本特有の繊細な感性を織り込んだ品々の展覧会には、伝統文化の心打つばかりの美しさがあり、日本人であることに大きな感動と誇りを覚えます。

フランス人だけでなく、日本人にも、ヨーロッパの他の国々の方々にもぜひ見ていただきたい比類なき展覧会です。
左から門司ユネスコ大使ご夫妻、
戸塚さん、鈴木大使夫人、私、コシノ・ジュンコさん。
パリ日本文化会館で4月5日まで開催