2010年9月10日

ヴェルサイユ宮殿で「村上隆展」

村上隆さんの
ヴェルサイユ宮殿での記者会見

本当に大変なことです。
あのヴェルサイユ宮殿が、日本の現代アート第一人者、村上隆さんの展覧会を三ヶ月間開催するのです。これはもう、歴史的な出来事といえるほど重要。

ヴェルサイユ宮殿はフランスの豊さの象徴的建造物。
もっとも華やかな王朝時代の栄華を、
現代でも克明に伝えるフランスの誇り。


そこに日本人の現代アート作品が、大々的に展示される。
この画期的な企画に対して、日本でもフランスでも非難の声があがっているようですが、
何か新しい大きな試みがあるときに起きる現象だ、と私には思えるのみ。
大げさに言えば、エッフェル塔を建築したときも、ルーヴルのピラミッドのときにも
非難がおきています。


村上さんの場合には、永久にヴェルサイユ宮殿に展示されるのではなく、一定期間、宮殿に新たな息吹を吹き込む、と解釈すべきなのではないかしら。

9月9日、ヴェルサイユ宮殿で村上さんの記者会見とブュッフェがあるという招待状を受け取り、ウキウキしながらヴェルサイユへ。

すでに村上さんに一度お会いしたことがあるけれど、挨拶した程度。私のことなどおぼえているはずがない。でも今回は記者会見だから質問も出来るし、じっくり観察も出来る。


そういうわけで張り切って二列目に座る。
出席している日本人はパラパラといった感じ、それに比べてフランス人とアメリカ人が圧倒的に多い。

宮殿内だけでなく、庭園にも村上さんの作品が展示されています。

「ヴェルサイユ宮殿は喜びと祭典の場であった。ムッシュ・ムラカミの作品は楽しく、同じように喜びがある。そこに接点を見出している」
ジャン・ジャック・アイヤゴン総裁の言葉に、私は大いに納得。

「二年前に依頼を受け何度か訪れ、ヴェルサイユ宮殿はバロックの装飾だということ、
その中でも特に金の重要性を感じました」
と語る村上さんのカラフルな作品は、バロックのインテリアといかにあっていることか。

時代が異なるとはいえ、それぞれの時世のそれぞれの喜び、楽しさ、そして豪華さが表現され、それでいてしっかりと共存している。
「ルイ14世が生きていて、直接村上さんに展覧会を依頼したとしたら」
との私の質問に真面目に答えて下さり感激。

「緊張感の中で、最大限のことをしようとチャレンジしたと思う」

そう、村上さんのこのチャレンジ精神は国際規模。勇気ある人です。
何よりも感動したのは「僕の作品たち」という村上さんの表現。
つまり、彼にとって作品は、様々な素材によって作られる単なる無言の作品ではなく、
精魂込めて育てた自分の子供たちのように、生命のあるものなのだ、と、私は解釈。


日本人の作品が、しかも、作者の存命中にヴェルサイユ宮殿を飾るのは今回が初めて。
やはりすごい。そうした村上隆さんの才能に、乾杯!