2010年3月10日

細川護熙パリ個展

凱旋門を目前にする瀟洒な旧邸宅にあるパリ三越エトワールは今、
日本の美に彩られています。それというのも、由緒ある武家と公家の血を引く、
細川護熙氏の作品展が開催されているため。

700年にも及ぶ、皇室に続いて2番目に古い歴史を持つ細川家は、代々文芸に格別な関心を抱き、世界各国の美術品を幅広く収集してきた家柄。そうした秀でた作品に囲まれながら育った細川護熙氏には、比類なき感性が宿り、それを今回の展示会で形あるものとしてじっくり観賞できます。
約120点の陶器、書などの展示演出も、すべて細川氏自身によるもの。日本の伝統を重んじつつ、細川護熙氏ならではの創造性を織り込んだ作品はどれも品格があり、心が浄化され、精神が高揚します。

一般公開に先立つ前夜の3月8日夕刻レセプションが行われ、
様々な分野の方々が多数参加。賞賛のため息と語りが館内を交差する中、細川ご夫妻が常になごやかな笑顔で対応。
「ムッシュー・ホソカワの顔には、日本の歴史ある美が刻まれている」
と、フランス人美術評論家が感想を述べていたのが印象的でした。

展示会場は三階にも及び、細川氏がシラク元大統領を迎えるために、湯河原の敷地内に建築させたお茶室も実物大で再現。そこで細川氏作の茶器でお茶を楽しめるだけでなく、お茶室の窓から凱旋門が一望できるという画期的なアイディア。それこそ日本とフランスの文化の貴重な交流。

世界の長い歴史上、首相を務めた後、完全に政界から離れ、
アーティストの道をひたすら歩む人は、世界広しといえども細川護熙氏ただひとり。

このところ様々な問題でイメージダウンぎみの日本。
そうした中での細川護熙氏の展覧会は、
日本人ならではの精神性、美意識の高さを再び世界に知らせ、
ポジティフな眼を向けさせることになる素晴らしい催しです。

パリ三越エトワール
細川護熙展 3月9日~5月15日