2012年2月7日

エルメスの格別なソワレ

エルメスならではの破格の才知による、破格のソワレが2月6日にありました。
会場はセーヌ左岸の広大な植物園内。この日も非常な寒さに震える夜でしたが、それが一挙に飛んでしまうほどの驚きと感嘆の連続。

シシーになった気分で乗った
おとぎ話に登場するような馬車
まず、会場まで車やバスで送るサーヴィスがあり、植物園の入り口ではプレス関係の人のお出迎え。その後、黒一色の細長いテントの中に入ると、何とその前に馬車が何台もとまっているではないですか。
テントはいわば馬車の乗り場だったのです。さすが高級馬具製作を起源とするメゾンにふさわしい。

アペリティフをいただく温室の外壁に
Hのイルミネーション
馬車は単なる馬車ではなく、
光の国から今舞い降りてきたかのように、
豆電球を体中にまとった幻想的な馬に引かれた6人乗り。
そこに着飾った御者の誘導で乗り、馬車は冬の寒さで葉を落とした木々の間を通りながら、植物園の中をゆったりと走ります。
その光景は、私に、オーストリア皇妃シシーを思い起こさせました。多分、今、ハプスブルグ家について書いているからでしょう。

その内、遠くに輝くHの文字が見えてきました。勿論エルメスのHです。
そこにも明かりが灯されていて、木々の間から見えるその文字が、私たちが向かっている目的地を示していることは、一目瞭然。

光の輪を通ってディナー会場へ
馬車がゆっくりととまり、再び御者の手に支えられながら降り、Hのマークが灯る建物の中に入ると、そこは巨大な温室。
見上げるほど大きな木や珍しい葉を見せる植物を観賞しながら、そこでアペリティフ。
と、どこからか鳥の鳴き声や、現実離れした楽器の音が聞こえてくる。気をつけてあたりを見回すと、女性、男性が植物の間に隠れるようにしながら、歌ったり竹の楽器を奏でているのです。


長さ70メトルのテーブルに
招待客は300人
アペリティフでほんのりした顔で温室を出た後は、電球が輝く輪がいくつも重なるようにしながらディナー会場まで導きます。入り口がブルーのライトアップでひときわ美しいディナー会場の建物は、世界中の貴重な鉱石などで有名な国立鉱物博物館。

中に入っての驚きは、今まで見たこともないほど長い長い70メートルのテーブル。この日、 着席ディナーに招待されたのは300人。次々と出てくるお料理がこれまた凝っている。

幻想的なディナー会場の
国立鉱物博物館
暖めた石の上に帆立貝が乗っていたりのオードブルの後は、粘土の箱に入ったメインのお肉料理。その粘土の箱を割るのに、ハンマーがいくつもテーブルの上に並べられるという凝った演出。鉱物博物館とお料理の組み合わせが、何とおしゃれなこと。

華麗な馬車がひときわ印象深いソワレ
デザートもまた、シュガーの箱入りでそれを割ると中においしいスイ-ツといった具合。
帰りはみなバラバラになるので、タクシーを無数にキープ。
パリならではの、そして破格のメゾンならではの、いつまでも記憶の奥に留まるすばらしいソワレでした。