2018年5月12日

メトロの駅名は語る 85

Les Gobelins
レ・ゴブラン(7号線)

フランスの有名なゴブラン織り工場が近くにあるので、このように名付けられた駅。

15世紀半ばに、
ビエーヴル川に面した地に誕生したゴブラン工房。
染織業に従事していたゴブラン家が、パリのビエーヴル川のほとりに染織の工房を持ったのは15世紀半ばでした。

特有の鮮やかな色合いが大人気を呼ぶようになり、16世紀半ばからタペストリーを手掛けるようになります。

繁栄に繁栄を重ね大富豪になったゴブランは、貴族の称号を購入。国務にも関与するようになります。

ブルボン王朝を築いた国王アンリ4世は、パリ郊外の土地をゴブラン家に寄贈し、その領主にまでしています。

ビエーヴル川のほとりのゴブランの工房に、1661年、フランドル地方の
タペストリー職人が入り、翌年、ルイ14世の財務総監コルベールが国費で買い取り、王立ゴブラン工場となります。

当時のゴブラン織り工場の内部。

王立ゴブラン工場を訪問するルイ14世。

国王の歴史的行事を描いたゴブラン織りのひとつで、
国王お抱えの主任画家ル・ブランの絵をタペストリーで表現しています。

王立ゴブラン工場の総監督に任命されたのは、ヴェルサイユ宮殿の主任画家だったシャルル・ル・ブラン。宮殿にはルイ14世の偉業をたたえるゴブラン織りが、壁を飾っています。

ルイ14世の時代に制作された高度なゴブラン織り。
紀元前202年にアフリカのザマで起きた戦いがテーマ。

ルーヴル美術館所蔵。

フランス革命で王立ゴブラン工場は閉ざされますが、王政復古で作業が再会され、現在もその名が世界で語られています。
王朝時代にはセーヴル焼きと同じように、外国の君主への贈答品として国境を越えていったゴブラン織りでした。