2013年3月2日

華のパリコレ

3月1日午後。ナポレオンが眠るアンヴァリッドの周辺は、
いつもと異なる華やぎが漂っていました。

着飾った人々が次から次へと集まり、
カメラマンはシャターを押すのに忙しい。
道行く人も、いったい何がおきているのかと足を止める。
目をアンヴァリッドに向けると、
その手前に大きなテントが張られている。
その上のほうにはDiorという文字が書かれている。

非日常の世界の会場

そうなのです。
ディオールの2013年秋冬コレクションの会場は
アンヴァリッドなのです。
さすが、です。


黒山の人だかりの中を入り口に向かって歩き、
招待状の厳しい検査の後、テントの中に入ると、
巨大な鏡の球がいくつもあり、そこに行き交う人々がうつり、まるで見知らぬ国に迷い込んだよう。

それこそ現代的幻想の世界。
床には雲が浮かぶ青い空。
特設会場にいる実感が湧かないほど現実から遠い。
それが、これから始まるコレクション発表への期待を
ふくらませないではいない。


コレクションは期待以上の気品とアート性が高いものばかり。
メゾンの創立者クリスチャン・ディオールへの敬意を示して、ディオールの伝説的バー・ジャケットを現代風にアレンジした数点の作品。

デザイナーになる前は画商だったディオールへのオマージュをこめた、ポップアートの巨匠、アンディ・ウォホールの作品をときには刺繡で、またときにはプリントで表現。
ディオールが好きだったシュールレアリスムのダリを彷彿させるのもある。

その他、アシンメトリー、ミニもあれば、ディオールの時代に流行らせた千鳥格子も、若さを取り入れ部分的に使用しているのもいい。

ポップアートとシュールレアリスムに彩られたコレクションは、すべての無駄な装飾をはぶきピュアーで優美。
そのどれも、ディオール本来の役割であるフランスのエレガンスの代表と呼ぶのにふさわしい。

ショーを見終わって感じたのは、会場の装飾自体がポップアートとシュールレアリスムだということ。



 
ラフ・シモンズを主任デサイナーとして選んだメゾン・ディオールが、いかに正しい判断を下したかを再認識した今回のコレクション。7月のオートクチュールへの期待が今から高まります。