2017年11月27日

メトロの駅名は語る 64

Saint Jacques
サン・ジャック(6号線)

聖ヤコブの遺骸が葬られている巡礼地に向かう際に使用されていた道路、サン・ジャック通り近くなので、この名が付けられました。
聖ヤコブはフランス語でサン・ジャックです。

レンブラントによる聖ヤコブ。
イエス・キリストの12人の弟子の中で、最初に殉教したのがヤコブです。
彼はスペインでキリスト教の布教にあたった後、エルサレムに戻りました。

その際、ユダヤを統治していたヘロデ・アグリッパ1世に逮捕され、44年ころにエルサレムで殉教したとされています。ヤコブの弟ヨハネもキリストの12人の弟子のひとりで、後に福音書を書いています。

嘆き悲しんだ弟子たちは、密かにヤコブの遺骸を船にのせ、長い間海を彷徨し、最終的にスペインに到着します。それが1世紀の終わりころではないかと推測されています。


聖ヤコブに捧げる
サンチアゴ・デ・コンポステーラのカテドラル。
その後、9世紀にヤコブが葬られている墓が、スペイン北西部にある現在のサンチアゴ・デ・コンポステーラで、突然、発見されました。羊飼いが(司教という説もあります)星に導かれて、ヤコブの墓を発見できたのだそうです。それを祭るために教会が建築され、世界中から巡礼者が訪れるようになりました。

巡礼の旅の出発点だった、
シャトレのサン・ジャック・ラ・ブシュリ―。
革命で壊され現在は鐘楼だけ残っています。
パリからの巡礼の旅は、シャトレ近くにあったサン・ジャック・ラ・ブシュリ―教会が出発点でした。巡礼者たちはこの教会から歩き始め、セーヌ左岸に渡り、学生街のサン・ジャック通りを通って、聖地サンチアゴ・デ・コンポステーラへと向かっていたのです。この教会は革命のときに破壊され、塔だけが現在でも残っています。

グレコが描いた聖ヤコブ。
聖ヤコブのシンボルはホタテ貝ですが、漁師の息子だったことや、殉教後船で彷徨っている間に、船底にたくさんのホタテ貝がついていたからだと言われています。