2010年1月7日

パリを襲ったユニクロ

「ユニクロって知っている?」
「ユニクロにもう行った?」
オープンしてすでに4ヶ月たつのに、いまでも話題になっている
ユニクロ。
オペラ界隈を歩いていて何度「ユニクロはどこですか?」
とフランス人に聞かれたことか。
ユニクロが日本のメーカーであることを知っていて、私が日本人の顔をしている証拠。

市バスのボディーに大きな広告をのせたりして、
前宣伝が華やかだったので、
2009年10月1日のオープンの日に興味しんしんで行ったら、入るまでに2時間待ち。
中にやっと足を入れて驚くのは、品目が多いこと。
カラーも豊富できれいなこと。布地の手触りもいいこと。
そして、何よりも、価格が手頃なこと。販売員の親切なこと。
ここが本当にパリ? と疑いたくなるほどやさしいのです。
その結果、カシミヤのセーターをたくさん買ってしまいました。

会計でも並ぶこと2時間。その間に耳にしたフランス人の
感想がとても面白い。
「ほら、見て。この忙しいのに販売員が笑顔をたやさないでいるわよ」
「ほんとうね。フランス人だったら、すごく不機嫌になるのにね」
「ねえ、聞いて。レジがあくとすぐに何番があいていますってアナンスしているわ」
「ウーン。さすが何でもきちんとする国民らしい」
「ここで働いているフランス人も、なんとなく日本人みたいに親切だと思わない?」
たしかにそうなのです。
ユニクロのフランス人社員は、多分、日本が好きな人とか、
日本語を学んだ人なのでしょう。
そしてきっと、日本の会社のように社員教育をしたのにちがいない。
日本人のごとくに感じよく、親切にすべし、と。

オープンして一年間は赤字を覚悟していたのに、
それに反して利益を生むのは確実、とディレクターはほくほく。
今後、パリ市内の主だったところに5、6店舗増やす計画があるそうです。

あのユニクロが、世界のファッションの中心地パリで
これほどの人気を呼ぶとは、
世の中の変化を形あるものとして感じるばかり。
去年、フランスのある雑誌の投票で、もっともパリにふさわしい女性に選ばれた
イネス・ドゥ・ラ・フレサンジュは
「マークのない服を着るのがパリ的なおしゃれ」
と語っています。
今はそういう時代なのでしょう。
そうであれば、ユニクロのパリ進出は理想的な時期。
いろいろと考えさせられるユニクロの進出です。