2010年7月10日

日本大使公邸でオペラの夕べ

パリ市内には、昔、
貴族が住んでいた瀟洒な邸宅が数多く残っていて、
そうした館が現在、
官庁関係の建物として使用されているケースが多い。
フォーブール・サントノレ通りの日本大使公邸も
そうした邸宅のひとつ。

歴史をひも解いてみると、
この建物は1718年に、
偉大な国王ルイ14世の侍従長の館として
建築されたとのこと。
さすが歴史の宝庫パリです。

その後何代かオーナーが変わり、
ナポレオンの時代を迎えると、
彼の兄ジョゼフの邸宅となります。

ナポレオンの出世に伴いジョゼフはナポリ王の座につき、
パリを離れ、その間に、
ナポレオンの妃ジョゼフィーヌが
最初の夫、ボーアルネ子爵との間に持った息子ウジェーヌが
住んでいたこともある。
その後改築が行われ、日本大使公邸となったのです。

こうした由緒ある歴史のぬくもりがある公邸で、
オペラの夕べが開かれました。
しかも、ソロ・オペラ。
つまり、ひとりのオペラ。

團伊玖摩さん作曲、
衣装、コシノ・ジュンコさん、
ソプラノ歌手、家田紀子さんの歌と語りで
「夕鶴」。
フランス人の招待客のために、
要所要所でフランス語のナレーションという配慮が素晴らしい。
日本独特の情緒ある民話をテーマとし、
白い着物と白い羽衣をまとってのソロ・オペラは、
優雅で精美。
まじかで観賞出来るのも、
こうした場ならでは。
その後は和食ディナー、
そして庭園で食後の談話。
そこでも家田さんが特別に歌を披露してくださり、
夏の美しい忘れえぬ夕べが続きます。
こうした隠れた日本の芸術を、
公邸で紹介して下さった斎藤泰雄大使に
感謝、感謝。
サウジアラビア大使、ロシア大使を歴任してきた
ベテラン大使ならではの、
とてもおしゃれな企画。
この次は何を・・・と期待に胸がはずむばかり。