2014年7月8日

パリ・コレ オートクチュール



オートクチュールのコレクションが始まりました。
年に二回のこのコレクション発表を追っていると、
時の経過の速さに驚きます。
このほか、
プレタポルテも毎年二度発表されるパリ。

その都度、世界中からジャーナリストや、クライアント、バイヤーなどが大勢集まり、街に一層の華やかさと賑わいが加わります。

モードはフランスの重要な産業。
それは17世紀のルイ14世の時代から変わりありません。

当時、フランスモード普及のために等身大や小型の人形に服を着せ、それを諸外国に送りアピールしていたのです。
ギリシャ神話に書かれた、神々が地上に送った女性からヒントを得て「パンドラ」と呼ばれるそうした人形たちは、ヨーロッパだけでなく遠いアメリカにまで送られ、フランスモードの宣伝を果たしていたのです。

19世紀にメディアが生まれるまで、
パンドラたちの活躍はとても重要でした。

第二次世界大戦のときには、ナチがモードの中心をパリからドイツに移そうと計画。

幸いなことにその実現前にドイツが敗戦。
モードは無事にパリに留まったのです。

美しい装いは、やはり美しい街パリにふさわしい。
と、コレクションを見るたびに思わずにはいられない。

7月7日のモード界の王者ディオールのコレクション発表は、もうおなじみのロダン美術館の中庭。
とはいえ、毎回コレクションのテーマによって設置される特別会場が異なるので、今回はどのような装飾かと心が弾まないではいない。

フランス女優
マリオン・コティヤール
この日は、美術館の庭園の両サイドに咲き乱れる花々の間を散策しながら、正面に見える会場に入るという仕組み。その中に一体何が隠されているか、進むごとに期待感が増します。少しずつ見えてきたのは白いオーキッド。
そして・・・
ああ、何という素晴らしい世界がそこに広がっていたことか!!

壁一面に無数の白いオーキッドが飾られているのです。
繊細な生花が、隙間がないように壁に差し込まれている。
高度な手仕事によるオートクチュールに何とふさわしい装飾。

白いオーキッドの優しい包容を受けながら、ショーが始まります。
ほっそりした上半身とウエストから延びる豊かなスカートをまとったマヌカンが、4つの出入り口から登場。

そのスタイルは、18世紀の宮廷に
アメリカ女優
シャーリーズ・セロン
華麗と豊穣を与えていた装い。
若く美しいマリー・アントワネットの時代です。
その時代にはパニエをスカートの下につけ、それによって豪華さが生まれる装いがもてはやされていました。

その18世紀を
クリスチャン・ディオールはこよなく愛していた。
そこに、現デザイナー、ラフ・シモンズは若さと現代性を織り込み、過去と今の時代の優美な融合を布で示したのです。
ごってりした装飾が大きな特徴なロココではなく、
清々しい風が通り抜けているような、シンプルで爽やかな作品ばかり。

不必要な華美な装飾をすべて排除した、
ピュアーでありながら18世紀を彷彿させるドレスをまとったマヌカンたちが、白いオーキッドの中で行き交う姿は典雅そのもの。

偶然に私も白いジャケット
ミニのドレスは心が浮き立つほど軽快だし、
ヴェルサイユ宮殿で宮廷人が見につけていた、
ブロドリーを施したマントーからヒントを得たコートには、メンズとレディースの美しいハーモニーがある。

デザイナーとアトリエの人々の才能が、忍耐が、情熱が込められている高度なコレクションを目にする時、一着一着に込められたあふれるほどの愛がひしひしと伝わってこないではいません。

そうそうたるゲストが顔をそろえたショー。ディオールならではの幸せと夢と文化を満喫。