2014年3月14日

典雅なロココに浸る

ルイ15世の時代に発達したロココ。 優美で繊細な曲線が絡み合うその様式は、華麗なヴェルサイユ宮殿にぴったりでした。

マリー・アントワネットは「ロココの女王」と呼ばれていますが、彼女の時代には古典主義を取り入れた新しい様式が生まれ、ロココは前代の名残のような存在だったのです。
同じヴェルサイユ宮殿に暮していたわけだから、当時の美意識が残っていても不思議ではない。

ロココ全盛時代を飾ったのは何といってもルイ15世の愛妾、ポンパドゥール夫人。国王でなく彼女の名がすぐにあげられるのだから、やはりポンパドゥール夫人はただ者ではなかったのです。

18世紀を代表するロココ様式は建築や家具、絵画に用いられていて、宮廷文化の華やぎが煌びやかに表現されています。

甘美な世界を描く絵を
あしらった、ステキな招待状。

富豪の銀行家夫妻の館が
今では美術館に。
ジャック・マール=アンドレ美術館では、その様式の代表的なふたりの画家、ヴァットーとフラゴナールに焦点をあて、その間に活躍した数人の画家も取り上げた展覧会を開催中。19世紀半ばに裕福な銀行家と画家の妻が建築させたその館ほど、このようなエキシビションに適している空間はない。

美術に深い造詣がある夫妻が、様々な国で購入した破格の価値の作品が、
広大な館の至るところに常時展示され、
多くの家具も残っているので、上質な人々のアートのごとき生活を体感できます。

美術品を多数収集していた夫妻が
購入したフレスコ画がこの上なく優美。
その二階で開催されている「ヴァットーからフラゴナールまで展」を観賞していると、21世紀はどこかに消え去り、18世紀、19世紀の甘美な時代の中に佇んでいる自分に気づきます。

瀟洒な邸宅美術館
美しい光沢を放つふわっとしたドレスに身を包む淑女たち、ご機嫌をとる端正な顔立ちの紳士たち、緑豊かな広い庭園でくつろぐ彼らは、不幸と無縁の、喜びと楽しみのみのユートピアで人生と戯れているよう。

そこから伝わってくる優雅で幸せな空気は、ほんとうに心地よい。
細胞に極上の栄養をたっぷり与えられること間違いなし。

ヴァットーからフラゴナールまで展
ジャック・マール=アンドレ美術館
7月21日まで