2016年1月18日

マリー・アントワネット 絵で辿る生涯 49

タンプル塔に連行されるルイ16世と家族。
タンプル塔に到着した一家。

チュイルリー宮殿の襲撃後、8月13日、国王一家はタンプル塔に幽閉されました。

いつまた暴徒が襲うかもしれないし、王党派の手引きで逃亡するかもわからない。宮殿は広すぎて監視も充分に出来ない。それで選ばれたのが、中世に建築されたタンプル塔でした。

12世紀にタンプル騎士団の本拠が置かれていた広大な領地が、騎士団が解散した後分割され、塔は監獄として使用されていた時代もありました。

壁が厚く窓が小さく、外界からの侵略にも充分に耐えられると見なされ、国王一家の幽閉に最適と考えられたのです。

タンプル塔の国王と王妃。
塔の周辺にあった家はすべて取り壊し、木も切りたおし、どこからでも監視がしやすいようにするほどの神経の使いよう。
塔は、まるで、大海に浮かぶ孤島でした。

その塔に行くのに、王一家が乗る馬車は、わざと遠回りします。革命家たちはパリ市民に、自分たちの勝利品を見せびらかせたかったのです。

王の権威は、もはやなくなっていました。革命家が主権を握り、すべてを決定していたのです。
王の運命すら、彼らによって左右されることになっていました。

陰惨なタンプル塔。