2016年1月28日

マリー・アントワネット 絵で辿る生涯 51

王妃が手がけた刺繡。
彼女のイニシャルMAが二箇所に施されています。

王妃の着替えをタンプル塔に
運ぶ際に使用した長持。
王妃はヴェルサイユ宮殿に暮していたときから、刺繡を手がけていました。手先が器用な人だったのです。

優雅なほっそりしたラインを描く「ルイ16世様式」の椅子に、王妃は自ら繊細な刺繡を施し、愛用していました。
モチーフの多くはバラの花で、小さなピンクのバラを散りばめたのもあったし、深紅の大粒のバラもありました。

タンプル塔に捕らえられている間にも、
長く退屈な時間を、刺繡をすることで紛らわすこともありました。
十分な素材がないので、壁布の糸をほどいたりして工夫していたのです。

小さな声で歌をうたうこともありました。王妃の声は細くフェミニンで、耳に心地よい響きがありました。

変化のない毎日でしたが、家族揃って暮せるのは幸せなことでした。けれどもそれが崩れる日は、すぐそこに迫っていたのです。
タンプル塔で王妃と王の妹が作ったタペストリー。